中高生のころ、「こんなこと勉強しても将来役に立たない!意味ないよ!」と不満を口にする人がまわりにいました。私自身も面白そうだと思ったこと以外は興味をもてない性格なので、役に立つ、立たない関係なく好きなことだけやっていました。
私が最も興味がなかった科目は地理と世界史で、その次は英語でした。成績は良いほうでしたが、唯一赤点をとって再試を受けたのは英語で、英単語をひたすら覚える科目でした。
教材が興味をひかなかったためだと思いますが、英語はほとんどの人にとって「役に立つ」科目です。
私も、英語、さらに言えば世界地理と世界史をしっかり勉強しておけばよかったと思いますし、学ぶのは早い方がよいです。が、過去には戻れませんので、思い立ったが吉日ということで今日からでも遅くありません。英語の勉強に取り組みましょう。
この記事では、いろいろな観点から改めて英語を学ぶことの重要性を考えていきます。英語を学ぶことで、役にたって利益を享受できるのに加え、異文化交流を通じて見識が拡がります。
英語の力:グローバル社会でチャンスをつかむ
1914年に始まり1918年に終結した第一次世界大戦のころには、英語が国際共通語としての地位を得たと言われています。今では、英語のネイティブスピーカーは4億人に迫る勢いで、英語は国際共通語として広く使われており、英語話者は15億人以上いるとされています。
さらに、自国から出て活動しようという人のほとんどは英語を習得しています。
今日では相互に繋がっていく世界にあって英語を使うことは、異なる背景を持つ人々と相互にコミュニケーションをとれることに繋がる、ビジネス、金融、政治、テクノロジー、学術などの幅広い分野で成功への鍵といえます。
異文化コミュニケーションができる
英語を使えることで、仕事で直接的に有利になるのは自明です。それだけではなく、文化背景が大きく異なる人たちと交流することは、自分の見識を大きく広げてくれます。
私はアメリカ留学中に知り合った仲間との交流を通じて、私は自分の視野が広がったと感じます。
異なる文化を持つ人々と話し、彼らの文化や習慣について多くを学びました。それに加え、異なる考え方や価値観に触れて理解しようとすることで、より柔軟な思考をすることができるようになったと思います。日本の色々な問題についても、外から見ることで初めてわかることが多くありました。
英語が全くいらない職業はあるの?
グローバル化した現代で、英語が全くいらない職業はあるのでしょうか?
英語がなくても困らない職業は多いと思いますが、基本的に外国語を使える方が絶対に有利です。
英語が必要なさそうな職業を挙げてみます。
- 裁判官、検察官、弁護士、司法書士
- 公認会計士、税理士
- 消防士、警察官
- 地方公務員
- 農業、林業、漁業
- 医者、歯医者、獣医
- 土木、建築、運送
- 商店、レジ打ち
- 主婦、主夫、家事手伝い
医者って英語いらないの?
医者は英語いるだろう、弁護士は英語いるだろう、商売には英語いるだろう、といった声が聞こえてきそうですが、日本人を相手にしているだけなら、外国語がなくても何とかやっていける可能性はあります。
日本で医者をしていると、日本語が通じない人も時たま受診されますが、日本語ができる家族や知人と一緒に来院されることが多いので、今のところ何とかなっています。また、弁護士をしている私の友人は「英語を使う機会が全くない」と言っています。このように、日本国内で仕事をしていれば外国語を使わなくても何とかなる職業も多くあります。
外国語が使えれば有利
日本語だけでも何とかなるとはいえ、国際的に活躍する国際弁護士も中にはいますし、会計士などもグローバル企業で働くなら英語は必要でしょう。
医療業界、商店などでは、英語ではなくスペイン語、ポルトガル語しか通じない人が来ることが多いので、必ずしも英語が話せれば十分だというわけではありません。日本へ帰国した時、地元の商店街で、店主が中国語で呼び込みをしていたのに衝撃を受けました。
他方、一見すると外国語がなくても大丈夫そうなイメージがある一次産業、二次産業は、近年外国からの働き手に依存しつつあります。
コンビニ、工場、農家など、働く外国人の存在は東京など大都市部だけではなく全国各地で珍しくない。それどころか欠かせない存在になっている―。
野菜も魚も”消える”!? 外国人が支える日本 (NHK)
国が毎年公表する統計によると、日本に住む外国人は増え続けていて2018年1月時点で249万人と過去最高になっている。
20年前と比べると約100万人も増えているのだ。
英語ができる労働者は日本ではなくアメリカへ行くことが多いので、英語さえできれば外国人労働者とコミュニケーションできるかというと微妙ですが、いちばん汎用性が高く海外への進出にも使いやすいのはやはり英語です。
科学、学術分野は英語一強
私が良く知る分野はテクノロジーと学術分野のため、その二つに絞ってみていくと、明らかに英語一強で、英語でやり取りをすることが基本になってきます。
テクノロジー・学術の世界における英語
技術・学術分野とひと括りにしてしまうと一単語ですが、中身は多彩です。
先にも出てきた日本国内の法律や税制、その他文系分野を除くと、最新技術、論文は英語で発表され、議論されるものが多いです。
最近でいえば、ChatGPTを始めとするAI技術が実用段階に入りつつあります。英語の情報についてはかなり正確な一方、日本語はまだ足りません。
その点で、日本語使用者は「AIに仕事が脅かされる」のはまだ先かもしれませんが、いつも英語使用者がAIの応用を先に体験、開発してしまうので、英語が使えないと後で不利になります。
学術分野での日本の相対的地位低下
医学分野では、日本人は2012年の山中伸弥博士の「iPS細胞の開発」を皮切りに、2015年の大村智博士、2016年の大隅 良典博士、2018年の本庶佑博士と立て続けにノーベル医学生理学賞を受賞しています。いずれも素晴らしい成果で、日本の誇る科学者ですが、iPS細胞は異例の早さでの受賞で、基本的には開発から数十年後たって有用性が明らかになった技術で、彼らが研究を行ったのはかなり昔のことです。
現在はというと、日本の研究費は他国よりも少なくなり、科学技術論文の質と数の両方でアメリカや中国は疎か、インドにも抜かれ、日本のプレゼンスは大きく低下しています。
中国は、中国国内で出版した論文を優遇する政策を採用するなど、科学技術の振興に力を注いでいます。翻って、日本は現在でも、英語論文の出版社は英米頼りで、日本の英語論文出版は権威の高い雑誌はほぼありません。
医学は英語の読み書きなしでは始まらない
上記にリストされた研究論文は、英文論文を集計しています。
日本で研究職として立身していきたい場合、他の人が参考にする論文誌に成果を多く発表しなければいけません。そのためには、英語をスムーズに読めないと難しいです。
GoogleやDeepLなどで翻訳することもできますが、専門用語が多くなると翻訳精度がとても低い上にカタカナ語ばかりになるので読みにくいです。
医学分野は、国内で医者をしているだけなら英語がなくても何とかやっていけますが、科学としての医学を勉強するには英語を避けては通れません。
IT系も英語が基本
医学分野よりももっと極端なのがIT系技術です。
プログラミング言語自体、ごく一部の例外を除き、基本的に英語をベースに開発されています。これは、言語自体が英語っぽいだけではなく、マニュアル・リファレンスも基本的に英語で書かれているためす。
自動翻訳である程度理解することは可能ですが、精度が必ずしも高くないので苦労することが多いです。メジャーなトピックであれば、時間がたてば日本語の訳書が出版される場合もあります。
しかし、日本語版が出版される頃には1-2年遅れていることが多く、日本語版が出た時には既に情報が古くなっています。また、インターネット上ではリアルタイムに情報が更新されているので、そもそも書籍に書かれている情報は出版時点で既に古くなっていますので、インターネット上を検索して情報を探す方がはるかに効率的です。
情報を検索する際、インターネット上の情報の大部分は英語で書かれているために、英語が理解できないと大きな情報格差が生じる可能性があります。
英語でなくてもよいが、最も簡単
これまで見てきたように、英語を学ぶことは仕事や学業での成功に直接的に貢献するだけでなく、異文化交流を通じて自らの見識を深め、柔軟でクリエイティブな思考をする能力の向上にもつながります。
必ずしも学ぶ外国語が英語である必要はありません。最近、英語のランゲージエクスチェンジ会に参加したところ、韓国人気、K-POP人気に驚きました。韓国語でも異文化交流はできますので、モチベーションが高ければ韓国語を学べば良いのです。
しかし、英語は学校で義務教育にも大きく取り扱われ、誰もが学ぶ機会がある外国語です。世界中で使われているため、教材も豊富です。
日本人にとって一番勉強する敷居が低いのは英語です。私自身、単語を覚えるのが苦手でしたが、学術論文ならともかく、日常生活では中学校で習う単語・文法で十分です。英語の勉強が嫌いだった方も毛嫌いせず、もう一度学習してみてください。
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