日本にいたころは、節分の前後から花粉症で結構つらかったです。初めて発症したのは中学生か高校生のころで、何だか鼻がムズムズしだし、段々悪化してきました。働き始めてからは正月から薬を飲んでいましたが、それでもひどい年には今頃の時期から5月にかけて頭がボーっとして大変でした。「従来の苗木植え続ける傾向…無花粉スギに補助金」(今は掲載終了しています)という記事があったのですが、日本は甘いです!!!日本の生産性をどれだけ落としているか・・・。そこは飴だけじゃなくて鞭も要るでしょう!?とりあえず、何でも良いので無花粉スギに替えてください・・・・

というのはおいておいて、アメリカでは花粉症がないから留学したらハッピーになれると思っていたのですが、実は結構あるのです。主にブタクサやタンポポの花粉症です。オレンジなどは通年のようです。2年目には鼻がムズムズしだしました。日本に帰国したときに、アメリカでもらった花粉アレルギーの所為で"通年性"花粉症になったらどうしようかと今から心配しています。

花粉症の対策

花粉症の対策は、まずは暴露する花粉を減らすことです。次に抗アレルギー薬、場合によっては耳鼻科でのレーザー治療です。他に、減感作療法といってアレルギーの元を注射して耐性を作らせる治療、乳酸菌を飲めば万事解決という人もいます。知り合いの中国人は、「中国には素晴らしい蜂蜜があるから、飲んでいれば大丈夫だよ!」と言っていましたが、花粉症になりました。アメリカでは良い蜂蜜が手に入らなかったんだと言っていましたが、どうでしょう。

ということで、

  1. 吸い込む花粉を減らす
  2. 抗アレルギー薬を使う
  3. 減感作療法
  4. 乳酸菌
  5. 蜂蜜

上記5つの考えられる対策について、比較的新しい研究論文も参考にしつつ、考察しました。

3)減感作療法~5)蜂蜜までのエントリは、すべて花粉症が始まる数ヶ月前から行った場合の話で、花粉症シーズンになってからではありません。また、1)暴露を減らす、2)抗アレルギー薬、は花粉症の症状が出てからでも効果がありますが、症状が出る前からのほうがより良いです。僕は抗アレルギー薬は(忘れないために)元旦から飲むようにしていました。

吸い込む花粉を減らす—Ⅰ

暴露する花粉量を減らすには、

  1. 昼間の外出を避ける(特に12~3時ごろ、とくに雨のあと、風の強い日は多いらしい)
  2. 外出時にはマスクをする
  3. 外から戻ったら手洗い、洗顔、うがい、可能ならシャワーを浴びて着替える
  4. 屋内に持ち込んだ服を片付ける
  5. 空気清浄器を使う、部屋をきれいにする

使用するマスクは、普通のマスクでも無いより良いですが、SARSや新型インフルエンザの頃から手に入りやすくなったN95(DS2)のほうが花粉を防いでくれるはずです。(N95はアメリカの規格でDS2は日本の規格です。N95のほうが95%防ぐというのが名前でわかるので、日本でも好まれて使われているのでしょう。)但し、息漏れがあるとそこから一緒に花粉も入ってくるので、しっかり着けないといけません。(フィットテストといいます) 上手くフィットさせるとかなり息苦しさを感じるはずです。見た目がちょっとあれなので、僕はN95マスクの上から普通のマスクをして隠していました。今はN95をつけている人も結構いると思うので、必要ないかもしれません。問題点は毎回使い捨てるには高いのにマスクの寿命が分からないことと、顔のカーブに合わないと効果が薄いことです。製品によって違うので一個薬局などで試しに買って、合うものを見つけたらまとめ買いするのがお勧めです。僕はしばらくRS2規格のマスク(ゴムの非使い捨て製品)を使ってみたことがあります。近未来的ですが、あまりにも見た目が気になるためこれで電車には乗れません。ただ、すごく調子は良くなりました。DS2とRS2で違う点は、息漏れがDS2規格マスクよりも少なくなる点ですので、より花粉への暴露が減っていたのだと思います。(本当は、着けたまま外出をほとんどしなかったのが一番の理由かもしれません。)呼吸用弁の付いたタイプのほうが呼吸時の息漏れが減るので、数種類しかありませんので顔に合うかどうかは運ですが、合えばより良いと思います。

アメリカでは、マスクをつける人はまずいません。インフルエンザにかかった人も、つけません。病院内では易感染の人がつけていますが、健康な人がマスク姿で出歩くのは命の危険があるかもしれません。したがって、まず売っていません。春先に風邪を引いたとき、寝るときに喉を潤したかったので探したのですが、あちこち(10店舗くらい?)探しまわって埃をかぶったサージカルマスクを1箱見つけました。作業用であるN95マスクはもう少し多くの店舗で売っていますが、欧米人と顔の形が違うので合うものは見つけづらいです。

抗アレルギー薬を使う—Ⅱ

抗アレルギー薬にもいろいろあります。研修医時代の同僚に花粉症に悩んでいる人がいて、手に入る薬を全部試したそうです。当時の彼女の結論は、「眠くなる薬はよく効く。眠くならない薬は自分にはあまり効かなかった」だったのですが、薬の効き目は個人差が大きいです。他の人には良く効いて眠くもならない薬が、僕には副作用だけでてかゆいままな、というものもありました。

今、医者にかからなくても手に入る薬として、フェキソフェナジンがあります。渡米してからはこれを愛用しています。他の薬のほとんどには、車を運転してはいけない、気を付けるように、という記載がありますが、これにはありません。個人差があるので、他のものは眠くならないけれどこれを飲むと眠くなると言う人にも会ったことがあります。

アメリカではステロイドの点鼻薬が市販され始めました。

減感作療法—Ⅲ

アレルギーの素であるアレルゲンを注射するという、聞くとびっくりする治療法なのですが、効果はあるようです。探すとすぐ出てくる論文を一つ見てみました。

Immunological comparison of allergen immunotherapy tablet treatment and subcutaneous immunotherapy against grass allergy.

 

Clin Exp Allergy. 2014 Mar;44(3):417-28.

注射による減感作治療と、舌下タブレットによる減感作治療(舌下免疫療法)を比べています。どちらも効果があるけれど、注射のほうが早く良く効く、という結果だったようです。図表5番では注射(SCIT)の場合治療開始3か月程度でかなり効果が出ていて、続けると維持か増強されている一方、舌下(SLIT)は3か月の時点では無治療とほとんど変わりませんが、1年以上続けるとある程度効果を実感できそう、なデータでした。このエントリとは関係はないですが、減感作療法は一回で効くわけではないので、一番効果、費用対効果ともに高いのは鼻のレーザー治療ではないかと思っています。

舌下免疫療法、日本で既に認可されていたに記載していますが、舌下免疫療法が2014年10月から日本で保険診療として認可されました。皮下免疫治療は以前から認可されています。2015/2/28 追記)

乳酸菌—Ⅳ

手軽なイメージなので試してみたことがある方も多いと思います。僕も時々食べたり飲んだりしていますが、他のどの対策よりも効果が低そう、かつ怪しげなです。まず、菌が生きている状態で摂取するか、死んだ状態で食べるか、という点でも論争があります。菌の数のカウントなども様々です。

たとえば、某社のヨーグルトはメーカーのページで100gあたり100億個以上(1x108個/g)以上を謳っています。他の会社は、謳っていませんがネット上の情報によると同等のようです。ただし、生きているか菌がどれだけいるかはわかりません。ビフィズス菌製剤として病院で出てくる、僕もよく使っていたものは、添付文書上で1g当たり0.3~0.5億個程度(0.3–0.5x108個/g)の生きた菌を含んでいます。これを一日3~6g摂取すること、となっています。死菌数は不明ですが、死んだ菌でも良いのなら、この製剤ではなく買ってきたヨーグルトを3~6g食べたほうが余程体に入る菌が多いはずです。(菌の種類にもよる”はず”ですのでこれは暴論ですが)

花粉症に対しての効果はどうなのか、というのを調べた論文を一つ読みました。

Efficacy and safety of the probiotic Lactobacillus paracasei LP-33 in allergic rhinitis: a double-blind, randomized, placebo-controlled trial (GA2LEN Study).

 

Eur J Clin Nutr. 2014 May;68(5):602-7

LP-33株という生きた乳酸菌製剤を、double-blind(placebo-controlled)、randomizedという信頼性の高い方法で研究した結果です。効果の判定は、患者の症状スコアで図っています。double-blind(placebo-controlled)というのは、研究を企画する側、受ける側ともに乳酸菌製剤を飲んでいるのか、わからない状態で行い、乳酸菌製剤ではない側には乳酸菌が入っていない以外は見た目、味、(可能なら成分)ともに同じように調整した偽薬(プラシーボ)を飲んでもらうという方法です。さらにrandomizedというのは、治療を企画した側が、どの人に乳酸菌製剤を渡すかをランダムに決めたということです。こうしないと、何が起こるか察しがつくと思います。

日本語に直訳すると「効果があることが明らかとなった」「著明な効果が認められた」というのが結論ではあります。Significant=「効果がある」「著明な効果」というのは、「統計を行った結果、効果は否定されなかった」という意味で、かなり難しい用語です。結果の数字を見るとわかると思います。

介入前の症状スコアプラシーボ群3.25、乳酸菌群3.25に対して介入後プラシーボ群1.65、乳酸菌群1.40に改善しています。統計的に検討すると、プラシーボと乳酸菌の違いがゼロではないことが示唆されていますが、この0.25の違いが「臨床的に意味のあるものである」ということとは大きく違います。また、鼻の症状と目の症状についてみてみると、鼻の症状は変わりなく、目の症状が良くなった(スコア-0.4)ことが全体のスコア改善につながっていそうです。この研究では、最低20億個(2x109個)の増える能力がある菌(=colony forming units、培養した時に増える数)を一日一回摂取しています。

もっと飲めばもっと効くのかもしれませんし、菌が違えば効くのかもしれません。

アメリカでは、ほとんどのヨーグルトは殺菌されており、生きた菌が入っているものは1つしかありません。Wikipedia(『Activa』 as of 2014/12/18 15:10)によると、以前は「臨床的に証明された」と書いてあったそうなのですが、訴訟を起こされたりして消えたようです。そこには、3パック以上(339g)以上飲まないと効果がないということに会社が同意した、というようなことも書いてあります。ただし、腸内細菌叢のことであって、抗アレルギーではありません。また、乳酸菌製剤もたくさん売っています。最近僕が使っているものは、高いものと比べて数が少ないのですが製造時には30億個/粒(3x109個)以上、有効期限満了時にも10億個(1x109個)以上の増える能力がある菌を含んでいます。日本よりも表示基準が厳しいのが分かると思います。腸内細菌にしては飲むと効果が出ますが、アレルギーは知りません。

そもそも、死菌でも良いと言う人たちもいるので混沌としていますが、どちらでも好きなほうを信じたらよいと思います。僕は生きた菌のほうです。上記のデータを見からすると、アレルギーへの効果を実感したならそれはプラシーボ効果だと思いますが、胃腸の調子という意味では効果は絶大だと思います。

蜂蜜(よりも花粉)—Ⅴ

この前、アレルギーに効きそうなことが書いてある蜂蜜、「マヌカハニー」をスーパーで見かけたので調べてみました。アメリカ国立の医学・生物学論文検索サービスであるPubMedで検索してみました。(注:Google検索よりも検索ワードの設定が厳密なので、ワードによって結果が大きく異なります。)ほとんどヒットしません。(注:検索ワードによってはヒットするかもしれません。)

見つかったものは、

Birch pollen honey for birch pollen allergy--a randomized controlled pilot study.

 

Int Arch Allergy Immunol. 2011;155(2):160-6.

 

Birch(樺、カバ)の花粉症患者に花粉を混ぜた蜂蜜と普通の蜂蜜をなめさせて、花粉症の症状を検討した論文です。11月から服用(口に含んで飲み込まずに口の中で解けさせる)し、4月からの花粉の季節に備えて検討しています。蜂が集めた花粉を混ぜているため、普通の蜂蜜の花粉量(400粒/g)に対して花粉蜂蜜(250,000/g、うち8,400/gがbirch)で、花粉のほとんどはbirchの花粉ではありません。(花粉として、蜂が集めたBirch以外がメインの時期のものを使っているため)

結果は普通の蜂蜜はほとんど効果がなく、花粉蜂蜜は効果が出ていました。花粉を結構取っているので、気になるのが、上の減感作で出てきたタブレットとの花粉量の違いですが、減感作タブレットは75,000 SQ-Tという単位でSQ-T=Standardised Quality units Tabletとメーカーページに脚注がついているだけで、どれくらいの花粉量か分かりませんでした。蜂蜜を一日8g摂取しているので、2,000,000粒/日です。資料が他に見つけられなかったので、スギの場合ですが1.2x10-8g/粒くらいらしいので、スギと同じと仮定すると2.4g/日ですね。花粉の味、見かけは同じだったといっているので、スギの花粉は他より大きいのかも知れません。

上記論文の参考文献として、蜂が集めた花粉の抗アレルギー効果の論文が二本引用されていました。いずれも同じ日本人著者でした。

Lipid-soluble components of honeybee-collected pollen exert antiallergic effect by inhibiting IgE-mediated mast cell activation in vivo.

Phytother Res. 2009 Nov;23(11):1581-6.

本当に効くのなら嬉しいのですが、どうでしょうか。本当は、蜂蜜の効果についてのエントリのはずだったのですが、見直すと、これは減感作療法に近いですね。ただ、蜂蜜の酵素で何かが起こったのかもしれませんし、よく分かりません。投与方法も、飲むのではなく口に入れて解けてなくなるまで待つ、というものなので、ここも減感作療法の舌下免疫療法に近いところです。

効果が見られたのは、「蜂蜜」対「コントロール」ではなくて「蜂蜜」対「花粉蜂蜜」でした。「蜂蜜」群では乳酸菌で見られたようなプラシーボが出ていませんが、人数のせいなのか、調査方法のせいなのかはよく分かりません。もう少し、手堅いデータが出てくるのか、消えていくのか、期待を込めて見てみたいと思います。

まとめ

花粉に曝される量と時間を減らすことが一番大事です。部屋を掃除して空気清浄機をつけ、帰宅後は着ていたものを脱いでシャワーを浴びましょう。外出時にはマスクをしたほうが良いです。おそらく現状一番効果があるのは、減感作療法やレーザー治療などの医学的治療ですが、定期的に通院して治療したり、痛い治療を受けるのを厭わない方は、アレルギー科や耳鼻科、皮膚科へどうぞ。抗アレルギー薬は効果がありますが、副作用で眠くなったりすることも多いので気をつけてください。 いつかすごいデータが発表されないとは限りませんが、乳酸菌・蜂蜜は明らかに効くということはなさそうです。花粉蜂蜜、はひょっとしたら効くかもしれません。

注意:よく言われる、「論文が出た=国際的に認められた」という論調は絶対に間違っていると思います。「論文が出た=そういうことを言っている人もいる」が正しいです。引用した論文についても、出ているから認められた効果だとか、効果が実証されたという意味合いのものではありません。念のため。

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0.3μm径の微粒子をマスクが95%以上キャッチできるというアメリカの規格。日本のほぼ同等な規格がDS2。マスクが微粒子を捕捉するかどうかという規格なので、使用者のところに到達するかどうか、ではありません。なぜ違うかというと、顔とマスクの間の小さな隙間から流入するからです。

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抗アレルギー薬

日本でも薬局で手に入りますが、診察・処方してもらったほうが安心で保険も効くので良いような。通販で売っているものは、規制のため国内品ではなさそうです。店舗で買うなら保険とどちらが良いのか考えてください。アメリカでは、成分ごとに色分けされていて、大抵先発ブランドの横に同色パッケージの後発ブランドが安めに置いてあります。ほとんど大丈夫ですが日本でもそうですが有効成分が入っているからといって効くわけではありません。あまりに安い場合にはなぜ安いのか要検討(有効期限、使用方法・用量などが他と同じか)です。

フェキソフェナジン(紫) ロラタジン(青) セチリジン(緑)
(アレグラ) (クラリチン) (ジルテック)

パッケージがカラフルで見分けやすくて良いです。カラフルで日本のAmazonに売っている「アレグラ」は、アメリカで売っているものの画像を取ったものに見えます。国内品は規制されてネット販売していないようです。

乳酸菌

乳酸菌:星の数ほど製品があります。店舗でコストパフォーマンスで選んだらよいと思います。試したのは次の2つで、どちらも良いと思いますが菌の種類・量が違う他、一方はカプセル、一方は錠剤です。

花粉蜂蜜

花粉症に蜂蜜はお勧めできなかった、2つの理由」に書きましたが、最初に載せたもののあまり勧められるものではない気がしましたので、画像・リンクを削除しました。

売っていないかと見てみたら、売っていました。楽天で見つけた花粉入り蜂蜜は、あまりにも良さそうに書いてありました。スーパーフードとか、パーフェクトフードと謳われただけで「怪しい!」と思うのは僕だけではないと思うのですが・・・。アメリカアマゾンでは普通に売っていて、興味があるので花粉入り蜂蜜を買ってみました。楽天のものは日本の養蜂場が売っていましたが、スペイン産と書いてありました。

 

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