日本でも3月16日にエボラ出血熱の話題が出ていました。今回はリベリアから帰国した外国籍男性の発熱でしたがエボラウィルスの検査前にマラリアが検出されていたので、「念のため」扱いでした。2014年末まではアメリカでも話題になっていたのですが、最近は大きな事件が多くほとんど話題に上っていませんでした。

長いので、一番下に「まとめ」を置きました。宜しければそこだけでもどうぞ。

 

アメリカのエボラ出血熱

アメリカでは、3月12日にシエラレオネでエボラ出血熱と診断された医師がメリーランド州のNIH(アメリカ国立衛生研究所)に入院したと発表がありました。金曜日には"serious"(重い)と発表されていた病状が、月曜日に"critical"(危険)に変わったようですので、病状はよくないようです。(CNNニュース記事

その後、3月25日現在まで続報はありません。

地理的にも近くアメリカ国内からリベリアへの直行便がありますので、日本と比べると圧倒的に人の行き来が多いです。

アメリカの患者数

今のところ、アメリカの病院で治療を受けたのは、これまで10名で、うち一名が病院での院内感染です。2名が亡くなっています。今回が11例目です。

ニューヨークで観察中の女性が口から血を流してなくなっていたケースがありました。昨年11月なので、陰性だったか周りに感染しなかっただけなのか、これの経過は見つからなかったので分かりません。

アメリカの対応

政府がエボラ出血熱の対応のために人員を多く派遣しています。今回の患者は、政府とは別に活動している団体の医師です。

アメリカ[編集]
8月初頭に[要出典]、アメリカ疾病予防管理センター (CDC) は、現地保健省と、WHO主導の流行への対応を支援するため、ギニア、シエラレオネ、リベリア、ナイジェリアにスタッフを配置した[142]。8月6日には、CDCはエボラへの対応優先度を6段階のスケールの中で最高レベルであるレベル1に変更した[101]。8月25日までに、ギニア、シエラレオネ、リベリア、ナイジェリアの4カ国に、CDC(74人)、USAID(国際援助局)(19人)、DOD(国防省)(2人をリベリアに)の3機関、合計95人を派遣している。
9月16日、アメリカのオバマ大統領は、西アフリカにおけるエボラ感染拡大に対してアメリカ軍から3,000人を現地に派遣し大規模な医療訓練と衛生管理プログラムに着手することを発表した[143]。


出典:『2014年の西アフリカエボラ出血熱流行』(ウィキペディア 最終更新20153/13 23:19)

なんとなく、これならばアメリカで万一発生しても、エボラ出血熱の対応をしたことがある医療チーム、感染対策チームを編成できそうな気がします。

手を洗うのはやはり基本(手を洗うのはやはり基本のようです。)

治療のための隔離エリアから戻る時治療のための隔離エリアから戻る時全身を消毒しています全身を消毒しています

画像(BY2.0 by CDC Glboal Health、改変あり)

日本は?

一方、日本では時々散発的に「エボラ感染疑い」がニュースになるものの、人の派遣は限定的です。現地で医療支援を行った医師のインタビュー記事がありますが、日本にエボラ出血熱が持ち込まれたらと思うと心配です。

エボラ出血熱は患者と接触がなければ感染の可能性は限りなく低いです。エボラ出血熱の患者を一生懸命看病した家族や、重症患者を救おうとした医師や看護師でなければそうそう罹るものではないのです。"優しい人がかかる病気"と言ってもよいでしょう。 これらの情報がクリニック内や医療従事者の間で共有されていても、ひとたび疑い患者に目が向けられると冷静な判断が損なわれやすいものです。エボラ出血熱よりパニックの方が懸念される事態です。エボラ出血熱をはじめ感染症に対する正しい知識を繰り返し院内で共有し、医療従事者がパニックに陥ることのないようにしたいものです。


...

まず西アフリカの3カ国から日本に降り立つ人は、現在2日に1人程度と考えられます。日本に入国する全体の人数を考えると、本当にごく少数ということがわかります。そんな少ない西アフリカ帰りの人が高熱で来院するということはめったにないと考えられます。また嘔吐、下痢などが始まる前の単に発熱があるだけの期間は、血液内のウイルスもまだ少ない時期なので、感染することはほとんどありません。発症時にすでに感染性の高いインフルエンザとは違います。熱が出ているというだけで慌てる必要はまったくありません。このようなことも念頭に置いて冷静に対応したいものです。


出典:『リベリアでエボラ出血熱の支援活動を行った加藤医師に聞く 日本での感染症対策』(医療安全推進者ネットワーク)下線は管理人による改変です

これを読むと少し安心できるのですが、が、「医療従事者がパニックに陥ることのないように」というところを達成するためには、エボラ出血熱を扱ったことがある人の数がたくさんいないと、難しいと思います。米国はエボラ出血熱の治療を行った病院が今のところ5箇所ありますし、米軍が支援しています。消毒とか、人の動きのコントロールなど、医療チームだけでできるわけではないので、そういう点は心配です。仮にアメリカから支援を貰ったとしても、細かいニュアンス、わからないと思います・・

『日本政府、エボラ拡大地域への人員派遣を延期』(ロシアの声):ロシアドメインです。http://japanese.ruvr.ru/news/2015_02_23/nihon-ebora/

必ずしも政府から人を出さなくても良いとは思うのですが、昨年来、これだけ世界を騒がせたエボラ出血熱が日本に上陸したときに、対応が決まっていなかったとか、できるところがないとか、だけはないようにして頂きたいです。検査施設はその後どうなったのでしょう。

今回の患者、Partners In Health

今回のアメリカでの患者(詳細非公表)は、政府職員ではなく、「Partners In Health」という団体の職員で、ウェブサイトによると1987年設立で世界中で途上国、貧困国での医療支援を行ってきたようです。ここの医師が感染して入院おり、10人の同僚が症状はないものの接触者としてアメリカで隔離されています。

プレスリリース『Partners In Health Clinician Admitted for Ebola Treatment』では、昨年11月からリベリアとシエラレオネで治療に当たってきて、医師がかかるのは今回が初めてであること、エボラの取り扱い手順をしっかり確立していること、西アフリカに2000人の職員がいて600名はエボラからの生還者、100名の熟練医師が今も活動している、と言っています。

一瞬2000人中600名の感染者が出たのかと思ったのですが、生存者が働いているのであって、働いたから感染したのではないのでしょう。Partners In Healthでは、エボラ出血熱について学ぶページをたくさん公開しており、その中に「シエラレオネで生存者をリクルートしている」という記事がありましたので、職員が感染したわけではないですね。実際何人感染者が出たのかは不明ですが、医師については今回が初めてのようです。

他にも『Dr. Paul Farmer: Who Lives and Who Dies』と『Need to Know: How Contact Tracing Can Stop Ebola』は面白そうです。ビル・クリントン元大統領とヒラリー・クリントン氏の娘のチェルシー・クリントン氏が前の記事をツイッターで「Worth Reading:」と薦めていました。読む時間はなさそうなので、誰か読んだら教えて欲しいです・・薦められている方は短くて読みやすそうです。

ブログを始めるまでSNSは使わないようにしていたので、使い方が分からないのですが、この前のオクラホマの事件『オクラホマの合唱事件、』でもツイッターがキーになっていたので、覚えなくてはいけません。アカウントは作ってみましたが何がなんだかまだ分かりません。ツイッターからブログに載せる方法だけは分かりました。著作権とか基本的に気にしなくて良いので便利ですね。(載っているものはすべてTwitter, Incに帰属なので)

当初は何人がアメリカに帰国して経過観察、とかそういう状況をウェブサイト上に公開していたのですが、この記事を書いた後3月17日にウェブ上から削除され、タイトルからは何のことかわからない記事『Dr. Paul Farmer: ‘Redoubling Our Efforts’』に置き換わっています。逐一公開する必要はないと思うのですが「寄付を募るのに不都合だから削除したのではないか」という疑念が拭えません。また、ふと思い立って調べてみたところ、このPIHでは昨年問題になった、隔離拒否をしたナースが教育係をしているようです。目指すところは立派だと思うのですが、もやもやしますね。DonationするかといわれたらNOです。

 

I was especially excited since we had just learned that the person training us would be Kaci Hickox, who is a huge celebrity in my book. Kaci is the nurse who bravely fought her quarantine last year, after she arrived home from Sierra Leone and was detained at the airport despite having no symptoms of Ebola. With complete disregard for any science or facts, she was ordered to quarantine herself in her home for 21 days. She was vilified by many people who didn’t know the facts, but her taking a stand was extremely important to all of the Ebola responders who came after her. There is simply no scientific reason that a clinician with no symptoms should be quarantined. 

 

出典:OneNurse at a time (http://onenurseatatimeblog.blogspot.com/2015/02/ebola-response-training-day-one.html)

3月30日にウェブサイトが更新され、その後回復傾向にあるようです。(『PIH Clinician Infected with Ebola Upgraded to Fair Condition』)

 

アフリカの状況

アフリカの状況は、昨年10月にはこのように報じられていました。

国連がエボラ出血熱に対して「いままでのところは我々の完敗だ」「あと60日間で対処できなければ感染は止まらない」「そうなったら人類は未曾有の危機に直面する」とコメントし、その悲観的な内容が話題になった。
どうすれば勝てるのか? 感染者の70%を療養施設に収容し、死亡者の70%を二次感染無しに埋葬することが必要で、そのためには感染拡大の現場で複雑な対策が必要となり、「そのうち一つでも失敗したら我々は敗北する」と語った。なんだかとっても厳しそうである。(エキサイトレビュー

この記事を書きながら、初めて原文を見ました。

Stressing that the world could not let Ebola win the race, he outlined four areas for collective action: to identify and trace contacts, manage the cases, ensure safe burials and provide useful information to people, so they could protect themselves. Each involved complex operations on the ground and "if we fail at any of these, we fail entirely," he cautioned. The World Health Organization (WHO) had advised that, within 60 days of 1 October, 70 per cent of those infected must be in a hospital and 70 per cent of the victims safely buried to reverse the outbreak.


Time ‘Our Biggest Enemy’ in Fight against Ebola, Senior Official Tells Security Council, Pleading for Collective Action(国連 2014/10/14; SC/11601)

読み取りが悪いのか、そんなに厳しそうにはパッと見には見えませんが、よく分かりませんね。これらが報じられた時期よりは好転しているようです。(下記はいずれもCNN)

ギニアでエボラサンプル盗難

昨年2014年11月には、ギニアでエボラ出血熱に感染した血液サンプルが盗難される事件がありました。高速道路で乗っていたタクシーが強盗にあって金目のものと一緒に盗まれたようです。(日本語ニュース『エボラ出血熱患者の血液サンプルがギニアで盗難 安全性に警鐘』)

今のところ、エボラウィルスを生物兵器として使う国・組織はなさそうだが、そうではなくても危ない、ということですが、今のところは特に続報はなさそうです。

まとめ

 

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