CNNニュースに、カリフォルニアの3つの大学が摘発されたと出ていました。このニュースでこちらに来てから長い間の疑問の一つが解けました。

その疑問は、「何で、ビザが切れてもアメリカに居る人がいるのだろう」ということです。学校に学費を払って、通わずに暮らしていた人が居たようです。

アメリカのビザ(査証)制度

アメリカに入国するには、日本人であれば90日以下ならビザは必要ありませんが、それ以上滞在する場合にはビザを取得する必要があります。いろいろな種類があって、主なものは

  • 商用/観光ビザ(B)
  • 使用人ビザ(B-1)
  • 就労ビザ(H):専門職
  • 学生ビザ(F)
  • 交流訪問者ビザ(J)
  • 通過ビザ(C)/クルービザ(D)
  • 宗教活動家ビザ(R)
  • 報道関係者ビザ(I)
  • 貿易駐在員・投資駐在員ビザ(E)
  • 婚約者ビザ(K)
  • 企業内転勤者(L)

アメリカ大使館のウェブサイトによると、公用以外のビザはたくさんの種類に分かれており、さらに小分類に分かれています。このうち、

  • B:ビジネス旅行や90日以上の観光
  • L:転勤用
  • F:学生用
  • J:交換留学生
  • H:専門職

をとる人が多そうな気がします。(気のせいかもしれません)このうち、B:ビジネストリップ、F:学生ビザはアメリカで報酬を受け取ってはいけません。

僕たちのような留学生に関係するものは、

  1. Fビザ
    • 大学や大学院、コミュニティカレッジ、語学学校などへの留学
  2. Jビザ
    • 大学院生やポスドク(博士後研究者)、インターン、レジデント
  3. Hビザ
    • 専門職ビザ

の3種類です。

Jビザのみ、帯同家族も給料を貰って働くことが出来ます。Hビザは、専門職ビザなのですが研究分野では、Jビザの滞在上限年数5年を超えた人がこれに切り替えています。

いずれも、重要な制限があり、就労する場合には「米国人の仕事を奪わないことが必要になっています。なので、以前は「寿司職人は就労ビザが取りやすい」というような話があったと思います。

(間違っていたら教えてください。専門家ではないので、必要な方は米国ビザページで確認してください。)

気になっていたこと

この制限のため、普通の仕事に移民が就くことは難しいのです。なので、日本食材店や日本料理店でも、日本人の料理人はいても、ウェイターやレジうちに(経営者以外の)日本人が居ることは少ないです。ほかの職業に就いている日本人は、アメリカでそもそも日系アメリカ人だったり、永年アメリカに住んでアメリカ人と結婚している人は居ますが、そうでない人は目立つほどは見かけません。(地域に拠るかもしれません)

なのに、数多くある中華料理店や韓国料理店、同食材店は、中国人・韓国人のスタッフであふれています。日本人のほうがそういう職業に就くつもりで渡航する人が少ないのかなと思っていました。

また、「ビザが切れて来週までに強制帰国になった」と言っていた人が、何ヶ月経っても、そのまま居たりします。

(そういうこともあった、というだけで、全員がそうというわけではありません。ハーバード大学の留学生も韓国人・中国人が一番多いです。)

何があった?

CNNニュースによると、南カリフォルニアにある4つの韓国人・中国人向け大学へ捜査が入ったところ、

教室、図書館、事務所などが「出演者のいない映画のセット」のようにもぬけの殻で誰もいなかった
年間600万ドル、7億円強の学費を集めていて、学生は1500人居るはずだったのに!

という内容です。そのうち、一つの大学は「アメリカの大学に入るためのTOEICが出来る」とパンフレットに載せていて、卒業者は60~70%だったそうです。

アメリカに来てからの疑問が一つ解けました。仕事をすることは不法だったとしても、この方法でFビザを取って合法的にアメリカに滞在していたかもしれないということですね。登録していた学生の多くは30歳代から50歳代だったそうです。

なお、先週来の「出産ホテル」摘発に引き続いて行われた捜査だということです。

The three defendants and their attorneys couldn't be immediately reached for comment Wednesday.

Schools helped students with visas

"Immigration fraud schemes potentially compromise national security and cheat foreign nationals who play by the rules," Acting U.S. Attorney Stephanie Yonekura said in a statement.

Federal agents raided four California schools accused of operating a "pay-to-stay" scheme bringing students from Korea and China to the United States.

"In this case, officials at several schools allegedly abused their responsibility to ensure that only legitimate foreign students were allowed to the stay in the country. This type of fraud against the United States will be thoroughly examined to bring those responsible to justice and to protect the integrity of our immigration system," the federal prosecutor said.

Three of the schools are in Los Angeles' Koreatown neighborhood: Prodee University/Neo-America Language School; Walter Jay M.D. Institute, an Educational Center (WJMD); and the American College of Forensic Studies (ACFS), authorities said.

The fourth school is currently operating in Alhambra, California: Likie Fashion and Technology College, authorities said.

Raid reveals empty school

"What we've broken up is a pay-to-stay scheme," said Claude Arnold, special agent in charge of the Los Angeles office of U.S. Immigration and Customs Enforcement.

"That's a scheme where institutions purport to be schools, but are really not doing any education whatsoever," Arnold said.

Prodee University/Neo-America Language School was located on the fifth floor of a Los Angeles office tower near the Koreatown neighborhood, but federal agents said they found the school "abandoned" during their raid on Wednesday. The agents allowed CNN to attend the raid.

The school featured classrooms, administrative offices and a small library, but no one occupied the spaces.

In fact, the abandoned school brought to mind a movie set, filled with props and decorations, but no actors.

In one small room, a CD player serenaded empty desks with classical music. The tiny library featured USC and UCLA pennants. The television wasn't even plugged in. One federal agent said many of the students listed on the school rolls were older, in their 30s, 40s and 50s.


出典:『Feds: 3 collected millions in fraudulent school scheme』(CNN.com)

アメリカビザ、米国人の仕事を奪わない

質問されたので、引用して書いておきます。ソースはアメリカのビザサービス(公式)ページですが、政府のページではなくて委託会社のものなので、正確なことはアメリカ国務省のページを見るように注意書きがあります。大使館ページは日本語がついていますので、そちらのほうがわかりやすいかもしれません。

H-2A (季節農業労働者)

H-2A ビザは、米国労働者がいないため、一時的に農作業に就く目的で渡米する外国籍の方を米国の雇用主が雇用するためのビザです。米国で一時的に季節的な農作業もしくはサービスに従事することを目的とする場合...米国の雇用主 (もしくは共同雇用主である米国農業生産者の組合) ...

H-2B ビザ (熟練・非熟練労働者)

このビザは、一時的、季節的かつ米国労働者が不足している職業に就く目的で渡米する方が対象となります。雇用主は、請願書の根拠となる、この職種に適格な米国人労働者がいないことを確認する労働省の証明を取得しなければなりません。

O-2(O-1同行者)

運動選手や芸能人で競技や公演に不可欠な役割を担い、米国には存在しない技能と経験を有する方は、O-1ビザ保有者と同行するためのO-2ビザの申請をすることができます。

 

同様の規定がないのは、芸能関係、宗教関係を除くと

H-1B (特殊技能職)

H-1B ビザは事前に取り決められた専門職に就くために渡米する方に必要です。職務が求める特定分野での学士あるいはそれ以上(もしくは同等の学位)の資格が必要です。...

L-1 (企業内転勤者)

多国籍企業の従業員が、米国内の親会社、支社、系列会社、子会社へ一時的に転勤する場合は...申請資格を満たすには、管理職または役員であること、もしくは専門知識を有し、米国の会社で以前の役職と同等の職位である必要はありませんが、管理職または役員職に就かなければなりません。...

 

今回カリフォルニアで摘発されたのは、学生ビザF-1の発給です。就労ビザではありません。僕たちのようなポスドクや、大学院生はJ-1ビザで交流訪問者といわれる枠です。実質的な給料を貰うことが出来るのですが、就労扱いではありません。ビザの面接のときに、「働きに行く!」というようなことを言ってはダメで、「研究しにいく!トレーニングだ!」と言わないといけない、という話もあります。

 

不法移民

アメリカの不法移民で一番多いとされているのは、中南米からの人たちです。オバマ大統領の政策で、不法移民の子供に在留許可を与えようというものがあって、議論を呼んでいます。(参考:『移民法が熱い』the Heritage Foundation)

以前から時々ニュースになっていた「出産ホテル」は米国生まれのため合法的に米国籍を得ることができます。摘発容疑は脱税だったり、不法入国者を滞在させた容疑、ビザの不正使用容疑(おそらく観光ビザなのに観光目的ではないことだと思います)で摘発されていますが、出産して米国市民権を取得した子供自体は合法で問題はありません。(アメリカで生まれた場合には無条件で米国市民になることができる、米国特有の制度によっておこっている問題です。)

今回摘発されたものは非移民ビザの不正な入手です。不法移民とは違いますので、タイトルを変更しました。(2015/3/16)

September 2017
Mo Tu We Th Fr Sa Su
28 29 30 31 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 1

ログイン(DISQUS/Facebook/Twitter/Google)なしでもコメントでき、その場合管理人の承認後表示されます。