日本語版のCNNを見ていたところ、『米国人の金銭ストレス、9割が「軽減せず」』という見出しのニュースがあったので、見てみました。本家CNNでは残念ながら見つけられませんでした。「ああ、まあ、そうだろうね」という内容で、最近よく気になる、結論ありきで全部が進められた研究かなと思ってソースを調べてみました。文章や分類が同じなので、このプレスリリースが元になっていそうです。

報告したのはAPAという学会で、American Psychological Associationの略なのですが、日本語で「アメリカ 精神学会」で検索すると、やはり略称がAPAのAmerican Psychiatric Associationしか出てきません。前者はアメリカ心理学会(Psychological)、後者はアメリカ精神医学会(Psichiatric)と訳すようです。近い分野で同じ略号なんて、紛らわしすぎます。

報告書を読むと、この調査は2007年から毎年行われているもので、今回の報道記事では、2007年と比べて経済状態は改善しているのに、金銭ストレスを感じる人は減っておらずむしろ昨年(2013年)と比べると90%近くが不変もしくは悪化したと回答している、という部分がフォーカスされています。

Most adults say their level of stress about money has remained the same (59 percent) or increased (29 percent) in the past year.(3頁、APA2014年報告書より)

Many Americans say their stress levels have either stayed the same (53 percent) or increased (29 percent) in the past year. Only 18 percent of Americans say their stress has decreased in the past year.(9頁、同上

この部分ですが、8割と9割はだいぶ違うように思います。2箇所でただの貼り付けミスではない数字の違いがあります。あと、元のプレスリリースではどちらかというと、「ストレスは全体的に改善傾向にあるけれども、金銭ストレスを感じるひとはやはり多い。また、経済的に不利になりがちな層(僕の解釈です)とそうでない層が感じる金銭ストレスの強さに、2007年と比べて差が出てきた」ということが取り上げられています。金銭ストレスはこの7年で低下していたという報告だったのですが、一年前と比べたら変わっていないか悪化しているという人が多いということです。長い目で見たら変化しているけれど直近と比べたら変わらないというだけですね。最近の経済回復によって全体の収入は上がっているけれど、上がっているのは富裕層だけでそれ以下はむしろ下がっているというようなニュースがよく出ていますので、そういうものと考え合わせると得心がいく結果だと思います。また、1年の間に経済的な理由で医者へかかるのを躊躇ったまたは止めた人が5人に1人(3頁、同上)とかなり多いです。

ところで、この調査ですが、オンラインで募った人を対象にしています。Wikipedia記事によると、アメリカのインターネット人口は日本とほぼ同じで76%であって、残りの23%強はそもそも対象外であることと、調査機関(Harris Pollというところで45年の歴史があるそうで、ドメインは17年前から運営されています)は歴史のあるところですがここに登録した上で招待されて、250~10000ドルのRewardを抽選で得るために調査に協力した人が対象者ですので、アメリカ人全体の意見ではありえないことは注意しなくてはいけないと思います。この調査は追跡はしていなさそうですが、毎年ずっとやっているので結果の変化は信頼できそうな気がします。

簡単に斜め読みしただけですので、間違っているかもしれません。詳しくは、元の報告ページをご参照ください。

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