日本代表選手のメダル獲得に毎日沸いているブラジル・リオデジャネイロオリンピックは、2016年8月5日に開幕し21日までの17日間開催されています。その後、2016年9月7日から18日までの12日間はリオデジャネイロパラリンピックが予定されています。

開幕前から、メダルが期待される競技の話題などで盛り上がっていましたが、他にも会場設営の遅れが取り沙汰されていましたし、2016年にWHOが感染拡大を警告しているジカウイルス感染症についても一部話題になりました。

ジカウイルス感染症

ジカウイルス感染症は、東京でも感染が広がって社会不安を引き起こしたデング熱と同じように発熱を伴うウイルス感染症で、デング熱と同じタイプのウイルス(フラビウイルス)によって発症します。蚊が媒介するのも同様です。

小頭症

デング熱よりもジカ熱のほうが発熱の程度は軽く、感染したときの自覚症状自体はそれほど問題になっていません。それよりも、「子供ができると小頭症になる危険が増える」ことのほうが重大視されています。

小頭症というのは、胎児頭部の発達が悪く、頭が小さい状態で生まれてくることを言います。少し小さいだけなら、コガオでいいじゃないか、ともいえるのですが、小頭症では頭が小さくなる原因が脳の発達が不十分で脳が小さいせいです。

小頭症で生まれてきた場合には発達遅滞になる可能性があり、生まれてくる本人にとってはもちろん、家族全員にとって非常に重大です。(参考:『新型出生前検査 導入から1年 ~命をめぐる決断 どう支えるか~』NHK)

ジカ熱のヒト・ヒト感染能力

エボラウイルスで再発、治癒後の感染能力が話題になった(参考:エボラ出血熱再燃患者は髄膜炎治癒後にエボラウイルスが見つかった精液と眼)ように、ウイルス感染症は一旦治った後も体内に潜伏することがあり、ジカウイルスもいったん感染するとウイルスが体内から完全になくなるかどうかはわかりません。少なくとも、数か月程度以上は感染能力が残っているのが確認されています。(参考:『ジカウイルス、感染から2か月間精液に残存 英公衆衛生サービス』AFP)

ジカ熱の診断

 

ジカウイルス感染症が重大なわけ

以上のようなことから、感染したときの症状自体は軽いジカ熱に対してWHOが非常事態宣言を出したのです。

まとめておくと

小頭症

  • 感染した胎児の1割がこの小頭症を発症するとブラジル政府が発表した
  • 小頭症の発症が実際増えるようである
  • 小頭症になると、本人にとってはもちろん、家族にも重大な事態になる

感染形態

  • 蚊が媒介する感染症である
  • 人から人へも感染する
  • 急性症状は軽く自覚がない場合も多い

治療・診断法

  • 現時点では治療法・小頭症の予防法はない
  • 確定診断は一般の施設では不可能
  • 四類感染症指定になり、疑ったら要報告

研究用のテストキットは市販されているものの、臨床用ではないうえに保険適応されていないので、一般保険医療機関では診断ができません。(全額自費もしくは病院のボランティア)

医師の駐在する保健所に連絡することになっているので、 疑った場合はエボラ出血熱のときと同じように保健所に連絡です。当面は、空港などの検疫所で水際作戦になるのでしょうが、エボラ出血熱やSARS、新型インフルエンザ騒ぎのような厳重警戒はされないでしょう。

ジカ熱が流行するかもしれない場所

現在流行していて話題になっているのはリオデジャネイロのあるブラジルなどの中南米諸国ですが、カリブ海を渡ったアメリカのフロリダ州でも2016年8月には感染が確認されました。(参考:『書き入れ時に大打撃か 米フロリダ州の人気観光地がジカ熱流行地域に』Exciteニュース)

フロリダ州はアメリカ南東部の南端にある州ですので、流行地域の南米には比較的近い地域ではあります。感染が確認されたのはマイアミ市内とマイアミ・ビーチです。マイアミは海沿いですが、フロリダ州の中央部にはエバーグレース国立公園があって、広大な湿地帯があるので蚊が多いですが撲滅するのは不可能だと思います。国立公園かつ世界遺産でもありますので。

アメリカ大陸以外では、もともとアフリカのウガンダ(ケニアの西)で発見されたウイルスですのでアフリカからなのかアメリカ大陸からなのかわかりませんがヨーロッパへの上陸が懸念されています。

特に心配されているのは、黒海沿岸部とポルトガル・マデイラ諸島(ポルトガル領ですがアフリカ大陸の西、大西洋上にあります)で、そのほか南ヨーロッパ諸国でもジカ熱が上陸して感染が拡大する可能性が指摘されています。

European countries where there is a 'moderate' risk of Zika: France, Italy, Malta, Croatia, Israel, Spain Monaco, San Marino, Turkey, Greece, Switzerland, Bulgaria, Romania, Slovenia, Georgia, Albania, Bosnia and Herzegovina, and Montenegro

Geographical areas within Europe where there is a 'high' risk of Zika: Madeira Island in Portugal and the northeastern Black Sea Coast

Source: World Health Organisation

出典:『Fans travelling to Rio Olympics could bring Zika virus back to Britain』(Telegraph)

エボラ出血熱よりも、蚊を媒介にして影響が広く及ぶ可能性があるので、ワクチンか治療薬が早期に開発されるのではないかという気がします。せっかくなら、日本の製薬企業・化学メーカーにも技術力を発揮していただけるといいなあと勝手な願望です。(追記:やはり急ピッチで進んでいました。武田製薬が参入も、というニュースは出ていましたが、実際にしているかは知りません)

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