少し旅行に出かけるだけなら、空港の両替所で現金を両替すれば良いと思います。僕も、いつも両替は空港の三菱東京UFJかTravelexでした。

留学や赴任などの長期滞在となると話が変わってきます。必要になる滞在費も高額になってきますし、事前に見通せない出費もあるのでできるだけ有利な方法で両替したいものです。僕が留学に出発したころは、「FXを使うのが絶対良い」と思っていましたが、最近は少しだけ様子が違ってきているように思います。

短期の海外旅行と長期滞在

両替レートを考えるともっと良い方法があるのですが、短期滞在なら別に大きな差はないので、別に気にしていませんでした。

海外旅行に行く前にホテル、レンタカーなどを予約しないことは、一時期流行っていたバックパッカーをするのでなければ滅多にありません。航空券も日本で購入してあるはずなので、現地で必要なのは現地のアクティビティや食事代、チップ、おみやげ代くらいのものです。そうすると、円建てクレジットカードを手数料を払って使うのが一番経済的な方法で、予備でキャッシュを少額持っていく程度で済みます。

特にアメリカはクレジットカード社会なので、僕がアメリカに来てからの数年間で使ったキャッシュの総額は10万円分位だと思います。内訳も友人がクレジットカードでまとめて支払った分を払うのが半分で、後はネイティブアメリカン居住区を旅行した時くらいです。

紙幣で持ち歩くのは危険ですし、メリットもないので意味がありませんが、まとまった金額を一度にアメリカに送金しておくと何かと便利です。基本的には銀行口座を開設しておくことが必要になります。

外国為替レートの見方

両替にどのくらいの手数料がかかっているのかを知るためには、まず為替レートの見方を知っておいたほうが良いです。

新聞、ニュースでは「1ドル112円10銭から15銭で取引されています」というような表現をしています。この表現は、ある瞬間の取引条件を示しているだけであって、一定時間内の為替相場がこの間に収まっているというわけではありません。どういうことかというと、ある瞬間に112円10銭で米ドルから日本円に替え、112円15銭で日本円から米ドルに替えることが出来た、ということを「1ドル112円10銭から15銭」と表現しているに過ぎません。

差額の5銭は両替業者のコスト、利益として徴収される分です。

為替業者は売り買いを同時にこなせばリスクを取らずに利益を取ることが出来ます。リアルタイムに相場が変動していく、外国為替証拠金取引(FX)ですと相場が大きく変動している瞬間以外は「1ドル112円15銭でドルを買い、112円10銭でドルを使って円を買う」という取引をすることが出来ます。

通常の両替所や銀行ではそうは行きません。為替レートは一定時間内は固定されています。先の為替レートがいくらになっているのかわからないのに価格を提示しなくてはいけないのです。変動分を吸収出来るのに十分なマージンをとっているので、両替レートが新聞のニュースの額よりも悪くなってしまいます。

例えば、ある日の東京三菱UFJ銀行のレートを見てみます。

通貨名 T.T.S. ACC. CASH S. T.T.B. A/S D/P・D/A CASH B.
001 USD (米ドル) 112.17 112.34 113.97 110.17 110.00 109.70 108.17

数字がたくさん並んでいますが、普通に使うのはこの内2セットです。T.T.S.とT.T.B、CASH S.とCASH B.です。

T.T.S.は電子取引で日本円で米ドルを買う際のレート、T.T.B.は逆に米ドルを日本円に換金するときのレートです。CASH B.、CASH S.は現金として米ドルをやり取りする際の取引レートです。空港にある両替専用窓口ではこの分の手数料が割引されているようですので、少額の場合は空港の窓口で両替するというのはそれほど悪くない選択肢ではあります。

それでも、往復で1ドルあたり5円80銭かかるのは結構大きいです。(この「売り」と「買い」の差額をスプレッドと呼びます。)

留学では1年分の学費・費用が7万ドル位かかることもありますから、この場合片道分だけとは言え為替手数料が20万円以上かかる計算になります。(UFJ銀行でリアルタイム相場を使った外貨預金の場合、往復コストは50銭程度まで圧縮されますが、UFJ銀行の場合はオンラインバンキングの場合で1ドルあたり25銭、一般窓口では1ドルあたり1円の手数料がかかります。)

 米ドルへの両替いろいろ

日本円を米ドルに替える方法はいくつかあります。簡単に出来るものから手間が大きいものを並べていきます。

  1. 空港の両替専用窓口—少額ならこれで十分ではないかと思います。
  2. 円建てクレジットカード—正確には両替と呼べるか不明ですが、手軽に利用出来ます。事前に電話連絡しておかないと、不正使用から保護する機能が働いて使えなくなってしまいますので、電話連絡が必要です。(頻繁に使っている場合はこの機能はは働きません)
  3. 銀行で両替—上で取り上げていますが、手数料が高くなりがちです。海外送金が更に必要なので、コスト的には苦しいです。
  4. ドル建てプリペイドカード—最近増えてきた方法です。少額だと有利なようですが、プリペイドの利用限度額があるので高額の利用は困難です。アメリカ留学にかかる費用の記事で紹介しています。
  5. 国際キャッシュカード—クレジットカードと違って、現地で現地通貨を受け取ることが出来ます。その分、クレジットカードよりも手数料が不利になります。事前にカードを用意しておいたり、口座も準備する必要があります。
  6. ペイオニア(Payoneer)—主に決済用に使われている新興サービスです。現在リサーチ中です。
  7. ドル建てクレジットカード—SBIカードで利用可能です。セットアップも支払いも厄介です。
  8. 為替証拠金取引(FX)—手間がかかるものの、両替レートは他を圧倒する安さです。

1万ドル以上(現在のレートで110万円以上)を両替をするなら、為替証拠金取引(FX)が際立って有利です。

アメリカへの送金

両替した米ドルをアメリカに送金する方法が一般的です。上記の両替方法のうちで、1)両替窓口、2)4)5)7)カード利用は送金する必要がありません。送金の手数料、必要日数を考えると、円建てクレジットカードの手軽さが際立ちます。最近は「海外利用でポイント倍増」というキャンペーンも多くありますので、高額でなければクレジットカードがベストと言っても良いかもしれません。

アメリカに米ドルを送金するためには、

  1. 日本円を口座に入金
  2. 米ドルを買い付け
  3. 外貨預金口座に入金
  4. 米国の送金先登録をする
  5. 海外送金の手続き

の5つの操作が必要です。銀行で直接外貨預金を行う場合、2)3)は同時に行われます。何度も引き合いにだしている、僕のメインバンクUFJ銀行で3万ドルを送金する例を考えると

  • UFJ銀行への入金は済んでいるものとする
  • 外貨預金の為替スプレッド1ドルあたり25銭なので7500円(注1)
  • 外貨預金の入金手数料はゼロ
  • 送金手数料3500円(注2)、送金の為替手数料2500円

注1:オンラインバンキングでリアルアイムレートの適応になる場合。それ以外の場合は3万円

注2:窓口の場合最大5000円。

メガバンクは不利だとずっと思っていましたが、最近は安くなったようです。

3万ドル送金で約13500円、10万ドル送金で約34000円です。以前だと、記憶が確かならそれぞれ3万6千円、10万9千円かかっていたはずなので、捨てたものではないです。メガバンクの安心感が必要な場合はこれでも良いでしょう。一度に数年分の必要額を送金するなら、10万ドルの場合必要経費が0.3%となり、クレジットカードやプリペイドカードと比較してもかなり抑えられています。(注意:海外送金の場合は、送金を受ける側、中継する銀行が手数料を取ります。恐ろしいことに手数料額は送金するまでわかりませんが、普通の銀行に送金するのであれば数十ドル以下でした。クレジットユニオンは不明です。)

2018年ごろから、更に割引をする計画があるそうです。(参考:メガバンクの海外送金手数料が90%OFFへ プリペイドカードとどちらがお得か調べてみた』マイナビニュース)

実際に行った両替・送金方法

この記事で挙げているうちで、僕が留学に出た時にやった方法は、

  • ネットバンキング→外貨ex(現在のYJFX!)→新生銀行→海外送金
  • ネットバンキング→外貨ex(現在のYJFX!)→シティバンク(現在のsmbc信託銀行PERSTIA)→海外送金

の2つです。2つ行った理由は後で書いています。2016年現在も同じ方法がベストのようですが、YJFX!はソフトバンクが親会社になり、シティバンクはなくなってしまいましたが、サービス内容は基本的に変わっていないようです。当時はマネーパートナーズFXと迷った結果、より手数料が有利だった外貨exで取引しました。海外旅行

この手順を取る場合には、

  1. ネットバンクへ入金
  2. ネットバンクからFX業者に入金
  3. 為替証拠金取引
  4. 現渡し取引
  5. 外貨預金口座への出金手続き
  6. 米国の送金先を登録
  7. 海外送金の手続き

という手順になり、銀行一行で両替→送金を済ませるのと比べると時間がかかります。

  • ネットバンクからFX業者への入金手数料(大抵無料です)
  • 為替証拠金取引、現渡し取引(専用の手数料がかかる業者があります)
  • 外貨預金口座への出金手続き
  • 外貨預金口座での入金手続き(新生銀行とシティバンクでは無料でした)
  • 海外送金手数料

がかかります。

新生銀行

普通の口座パワーフレックスと海外送金用のシステムGoRemitがあります。

パワーフレックス

  • 外貨預金への送金受け取り手数料:0円
  • 海外送金手数料:4000円
  • 為替スプレッド:口座開設時1ドルにつき9銭(7銭~15銭/ドル)

通常の海外送金です。知らないうちに、為替スプレッドがかなり縮小していました。口座開設から3ヶ月間の優遇手数料もあります。(送金先の登録は店舗で手続きが必要でした)

先ほどの例で3万ドル送金する場合、4700円、10万ドルでも13000円です。

GoRemit

  • 外貨預金への送金受け取り:不可
  • 海外送金手数料:2000円

円から直接両替して送金するサービスです。スプレッドが2円程度になるので、UFJ銀行のほうが有利かもしれません。

smbc信託銀行プレスティア(旧シティバンク銀行)

  • 外貨預金への送金受け取り手数料:不明(多分かからない?)
  • 海外送金手数料:3500円(前月の残高平均100万円以上で2000円)
  • 為替スプレッド:1円/ドル

以前はUFJ銀行よりかなり有利な手数料で新生銀行と同程度でしたが、UFJ銀行に迫られています。メインバンクが三井住友銀行だったら、使っても良いかもしれません。

マネーパートナーズFX

日本の為替証拠金取引業者の中では古参です。2013年に東京証券取引所上場企業の仲間入りを果たしました。

口座の種類が2つあり、パートナーズFXとパートナーズFX Nanoです。Nanoのほうがスプレッドが狭く取引条件が有利ですが、海外送金に使える「現渡し」が出来ませんので両替目的では使えません。

以前は、マネーパートナーズなどのFX業者を使って両替的なことをするのはどちらかというと裏ワザ的な雰囲気が漂っていましたが、今はマネーパートナーズのトップページで「日本最安の外貨両替」と出ているので売りの一つになったようです。


マネーパートナーズ

両替が簡単を売りにしていますが、為替証拠金取引の口座を作ることになりますので、所定の審査があるはずです。

送金用の両替

  • 為替スプレッド:だいたい0.3銭/ドル
  • 「現渡し」(=出金手数料):1万ドルあたり4000円、10万ドル以上の場合1万ドルあたり2000円

3万ドルを新生銀行経由で海外送金する場合、手数料は12090円+4000円で16000円、10万ドルの場合は20300円+4000円で約20000円です。現渡し手数料が響いています。

紙幣で受け取る両替

  • 為替スプレッド:だいたい20.3銭/ドル
  • 空港受取手数料:500円/回 (一回に付き最大2000ドルまで)

送金用に使うには不利な手数料体系になっています。以前から同じだったような気がするので、むしろメガバンクや新生銀行が安くなったということでしょう。米ドルのキャッシュを持って旅行に出るのなら、1ドルあたり60銭程度なので両替サービスとしては群を抜いて良い条件です。受け取りは、成田国際空港、羽田空港、関西国際空港、中部国際空港に限定されますが、伊丹空港を使うのでなければ問題にはならないでしょう。ただし、受け取り出来る場所が空港ターミナル外にあるトラベレックスに限定されるので、乗り継ぎで国際空港に行く場合は時間に余裕を持っておく必要があります。

マネパカード

外貨決済用のプリペイドカードですが、1ドルあたり0.4セントでパートナーズFX口座から入金出来ます。残った分をFX口座に手数料無料で戻せるので無駄になりません。(プリペイドに使った手数料は返ってきません) 現渡しと同じで、パートナーズFX nanoでは出来ないようです。

YJFX! 外貨ex

運営会社が2転3転して現在はYahoo!(ソフトバンク)が運営しています。海外送金をするための手数料はマネーパートナーズを使う理由がないほど有利ですが、最近従業員による個人情報持ち出しがあって、対応が遅かったりしているようです。対応が十分だとも思いません。

手数料自体は最安だと思います。

  • 為替スプレッド:だいたい0.3銭/ドル
  • 「現受」(=出金手数料):一回あたり1500円(一回あたりの制限については見当たらないのでないと思います)

レバレッジ(100万円分を取引するのに、どれだけの入金をしておけばよいかという倍率)を25倍か50倍にしておいて(100万円分を2万円か4万円の入金で取引可能にする)、外貨で出金する前に必要額を入れれば大丈夫です。

3万ドルを新生銀行経由で送金する場合、5590円、10万ドルでも5800円です。条件的には一番良さそうです。(以前僕が使った際はトラブルなく出金できましたが、最近は外貨で出金する際の必要残高が変わったようでトラブルに遭った人もいそうです。)

YJFX! 外貨ex

 リスク 

外国為替の絡む取引にはリスクが伴います。外貨預金もFXも、預金保険機構の保証対象外です。銀行、FX業者が破綻した場合にはなくなってしまいます。

また、外国へ送金する場合、思わぬトラブルがあり得ます。たとえば、送金口座の登録はできますが、日本国内の口座と違って、着金に時間が掛かりますし、ちゃんと着金するまで安心出来ません。僕は多少手数料が高くなりますが、リスクを避けるために2回に分けて別の銀行から送金しました。

以前は、メガバンクの手数料が今より高かったのでFXを使いましたが、今の条件だったら、UFJで送金していたかもしれませんし、FXは使わずに新生銀行から送金していたかもしれません。

為替証拠金取引は、一般にリスクが高い取引です。特にレバレッジを高くした場合に顕著に起こります。1万ドル分を1万円強(最もリスクが高い100倍なら)で取引できますが、為替レートが1円変動すると1万円分の損失になり、元本が消滅します。更に強制決済手数料がかかるために推奨はされません。逆にレバレッジを1倍にしたら安心かというと、1万ドルを維持するのに112万円入れていたとすると、為替レートが112円を超えた瞬間に強制決済されてペナルティを受けてしまうので、海外送金目的でもレバレッジは最低2倍以上、両替まで日数をかける場合には、その間にFX業者が倒産してしまうリスク(高くはありませんが)を考えると20~50倍に設定しておいて、送金を行う直前に入金したほうが安心です。 

ちょっと神経質すぎるかもしれませんが、万一のことで留学する機会を永久に失ってしまう可能性もあるので、気をつけましょう。

September 2017
Mo Tu We Th Fr Sa Su
28 29 30 31 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 1

ログイン(DISQUS/Facebook/Twitter/Google)なしでもコメントでき、その場合管理人の承認後表示されます。