早稲田大学の大熊重信像

2014年に話題をさらったSTAP細胞騒動で、早稲田大学が小保方晴子博士の博士号を剥奪しました。

早稲田大学側の言い分もわからなくはないですが、「学位剥奪は不公正」と主張する小保方氏のほうに分がある気がします。

学位授与取り消し

2015年11月2日、早稲田大学の鎌田薫総長(大学のトップ)らが記者会見を開き、小保方晴子博士の学位取り消しを決定したと発表しました。「剥奪」ではなく「授与取り消し」なので、博士であったことはないし、博士課程を修了していないことになるのでしょうか?

小保方氏のコメントのほうが先に出てきてYahoo!ニュースになっていますが、早稲田大学のほうはあまり露出していませんね。

研究の「不正」って?

学位授与の取り消し理由は、「不正の方法により学位の授与を受けた」なのですがそもそも「不正」って何でしょうか?

「不正」は、科学的に正しくなかった(≒普遍的な現象、もしくは再現性のある現象ではなかった) ということとは字面は同じですが、異なります。ウィキペディアに項目『科学における不正行為』がありました。論文に関係ありそうな「不正」は、

  1. 捏造・改竄(出ていないデータを書く)
  2. 剽窃・複製・二重投稿(いわゆる、パクリ)
  3. ギフトオーサーシップ(著者要件を満たさない「政治的に選ばれた」共著者があふれる)

の3つです。今回問題になった論文では、捏造・改竄(かいざん)に加えて、剽窃・複製があるように思います。

オーサーシップ不正:今回は関係ないけれど多い不正

3つ目のギフトオーサーシップというのは、「不正」に分類されていますが、世に出される論文の多くがギフトオーサーシップを含んでいると思います。著者の要件とされるものが比較的厳しいからで、広く使われているICMJE(国際医学論文編集者委員会)の基準では、

  • Substantial contributions to the conception or design of the work; or the acquisition, analysis, or interpretation of data for the work; AND
  • Drafting the work or revising it critically for important intellectual content; AND
  • Final approval of the version to be published; AND
  • Agreement to be accountable for all aspects of the work in ensuring that questions related to the accuracy or integrity of any part of the work are appropriately investigated and resolved.

と書かれていて、

  1. 研究のコンセプトもしくはデザインに関与するか、研究データの取得・解析・解釈いずれかに貢献した
  2. 論文の草稿を書く、もしくは重要な改訂を行った
  3. 論文の最終稿を承認した
  4. 論文に関しての正確性と一貫性を保証した

が必要ということになっています。必ずしもこれに従わないといけないわけではないですが、よく使われる基準です。たとえば、実験助手(テクニシャン)の場合は、1番目(と場合によっては2番目)を満たしてはいるものの、3番、4番を満たさないので著者に加えられることは稀です。逆に、よく実験材料を提供したからとか、教授だからという理由で著者に加えられているのを見ます。

早稲田大学の博士論文不正問題

早稲田大学博士論文不正問題とは、早稲田大学が認定した博士論文における盗用・剽窃、及びその疑いによる調査や、それらにより生じた様々な問題である。
2013年には公共経営研究科において、中国人留学生晏英の盗用・剽窃が告発され、初の学位返還という事態に至った。
2014年にはSTAP論文の疑惑発覚に伴い、小保方晴子の博士論文において序論や画像、参考文献などの問題が発覚。さらに先進理工学研究科が認定した280本全ての博士論文においても調査を行う事態となった。小保方論文の調査では多くの問題が認定されたものの、調査委員会は学位取り消しには当たらないとの結論を出した。調査委員会の結論は大学の内外に波紋を広げ、早稲田大学、更には日本の学位全体の信用問題として注目を集めることになった。後に、早稲田大学は調査委員会の結論を受け入れず、猶予期間を設けたうえで小保方の博士号を取り消す決定を行った。
出典:『早稲田大学博士論文不正問題』(ウィキペディア 最終更新 2015/10/30 05:23)一部改変しています

STAP論文だけではなく、以前にも一件あったようです。ただ、社会的に大きな注目を浴びたのはSTAP細胞のほうだけです。

ウィキペディアにも書かれていましたが、論文の審査委員に名前を連ねていたハーバード大学のチャールズ・バカンティ教授は博士論文審査に関わらなかったと発言しています。そもそも、日本語の論文を読めると思えません。

日本の博士号の価値は?

今までに報道された内容が正しいとすると、一般的には小保方氏が「名誉ある」学位を授与されるのは正しくないと思います。が、早稲田大学の論文審査過程で「審査に関わらない」教授が名を連ねているのに普通に授与されたのか、一旦学位取り消しは当たらないと判断したのにすぐに結論を変えて授与取り消しを決めたのか、腑に落ちない点が多すぎます。

早稲田大学の博士号がその程度のものだ、という結論しか出てきません。それであれば、学位を授与されていても問題ない気もします。自分の学位審査を振り返っても、不正があったら対応できないと思いますし、審査員が博士論文を読んだとは思えないという悲しい現実に気づきます。そうでない大学って日本にあるのでしょうか?

価値がない、博士課程などに行かないほうがよい、役に立たない、などと言われるのがわかる機がします

他の論文コピペ疑惑は?

さらに、STAP細胞の問題が出たとき「コピペするのが普通のことだった」という話も出ていました。この話題を扱ったブログのリンク『早稲田大学 常田聡 研究室の博士論文のコピペ疑惑』を挙げておきます。ゴシップ的で情報の信憑性はわかりませんが、実際に調査され始めていたので、全くの眉唾でもないのでしょう。逆の意見『早稲田大学の理工系の非コピペ文化について/電気・情報生命工学科の学生から』もありました。

一年半経ちましたが、この調査はどうなったのでしょう?

STAP騒動に関して

小保方氏の学位取り消しに意義はありませんが、小保方氏だけ学位授与取り消しというのは片手落ちで納得できません。

また、理化学研究所の再生・発生科学総合研究センター(CDB)は「解体的に出直し」するための再編をするはずだったと思うのですが?

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