国際がん研究機関(IARC)というWHO(世界保健機関)の外部組織がハム/ベーコン/ソーセージなど加工肉が発がん物質(Group1)に分類しました。

タバコやアスベストと同じ分類だと恐れおののいたりするコメントをネット上で多く読みましたが、IARCが定義する発がん物質は身近なものを含めてたくさんあります。

IARCとIARC発がん性分類

IARCは、1965年から活動している団体でWHOの組織でありながら資金的に独立して運営されています。いろいろな物質の発がん性を評価しています。

IARCが公表している発がん性分類は、

当該物質などの発がん性に関する科学的証拠の確からしさを分類したものであり、発がん性の強さを評価したものではない。つまり、IARCの発がん性分類は、発がんのリスク評価ではなく、ハザードの同定となる。分類にあたっては、(1)疫学調査など人での発がん性データと(2)実験動物での発がん性試験などの証拠 (3)その他関連情報の 3点を評価し、それぞれの証拠の確からしさにより人への発がん性を総合評価する。
出典:『国際がん研究機関』(ウィキペディア 最終更新 2013/7/27 08:18)

です。

発がん性分類

発がん性分類は、発がん性の可能性がある事柄(物質や現象)を3つに分けています。

  • Group1  発がん性物質
  • Group2A 発がん性物質と思われる
  • Group2B 発がん性物質の可能性がある
  • Group3  人間に対する発がん性を評価できない
  • Group4  人間に対する発がん性はたぶんない

と、分類自体は5つのカテゴリーですがGroup3は評価不能、Group4は発がん性物質ではないという分類になりますので、発がん性物質に分類されるのはGroup1、Group2A、Group2Bの3つです。

分類された物質の数

IARCが検討して評価した物質のほとんどは何らかの発がん性が指摘されています。

  1. 発がん性物質:118種類
  2. 発がん性物質と思われる:75種類
  3. 発がん性物質の可能性がある:288種類
  4. 判断できない:503種類
  5. 発がん性はなさそう:1種類

そもそも発がん性がなさそうなものは評価も検討もされないので、発がん性がありそうだという分類になるものがほとんどなのは自然だと思います。そうは言っても、評価されたもののうち発がん性が指摘されなかったのがたった一つしかないと言うのはかなり辛いものがあります。

発がん性物質分類の意義

上記ウィキペディアからの引用部分に書かれている通り、IARCの発がん性物質分類は発がん性の強さを評価したものではありません。「発がんのリスク評価ではなくハザードの同定」と難しく書かれていますが、これは

  • 多くの証拠から、正しいと思われる発がん可能性の増減を計算します。この発がん可能性の増減はある一つの数字で得られます。
  • 例として加工肉は50gごと+18%、赤肉は100gごと+17%のように示されます。
  • 数字としてはほとんど同じですが、(厳密には50gと100gで違いますが。)加工肉はGroup1に分類され赤肉はGroup2Aにとどまっています。
  • 加工肉と赤肉の違いは、「発がん可能性の上昇が本当はゼロである」可能性がどの程度かを計算したとき、加工肉の場合本当は発がん性がない、可能性が非常に低い(実験では5%以下を大抵使います)が、赤肉の場合は発がん性がない可能性がある程度ある(同様に大抵10%か20%です)という点です。

を表しています。実際に発がんする危険を評価しているわけではない、というのは、

  • 加工肉の場合、毎日1キロ食べるような人がいたとすると、発がんの可能性は27倍になりますが、普通は毎日欠かさず1キロソーセージを食べるような人はいません。
  • 日本中の人が50g加工肉を食べたとしても、最近、日本人の大腸がん発症率は人口中約0.1%なので0.125%に上昇するにとどまります。
  • もしも、日本中の人がアスベストに暴露する仕事に就いたら、日本人の肺がん発症率の上昇が0.025%で済むということはたぶんないですので、危険の強さを調べているわけではありません。
  • あくまで、危険がゼロである可能性が非常に低いというだけです。

身近な発がん性Group1

発がん性がなさそうと評価されたのは、過去にε-カプロラクタムしかありません。カプロラクタムは、衣料品などに使うナイロンの原料だそうです。

逆に発がん性がある、Group1に評価されたものはたくさんあります。身近で見かけるものも多いです。

日常生活

  • ベンゼン(有機溶媒)
  • ホルムアルデヒド(ホルマリン):シックハウス症候群やカニから検出されたりしています
  • ガンマ線・中性子線(放射線)
  • ニッケル化合物:ステンレスなどに含まれます
  • エストロゲン治療
  • 経口避妊薬
  • PCB:電子基盤・塗料などに使われていました。日本では1970年代から製造も輸入も禁止されていますが・・・
  • 太陽光・紫外線
  • タバコの喫煙、副流煙による受動喫煙
  • アルコール
  • 加工肉

感染症

  • B型肝炎ウイルス(HBV)
  • C型肝炎ウイルス(HCV)
  • HIV-1ウイルス:AIDSの原因
  • HTLV-1ウイルス:日本の九州地方に分布
  • HPV-16・HPV-18:子宮頸がんの原因
  • ヘリコバクター・ピロリ菌:胃がんの原因

リストを見て

Group1に分類されたものを見ると、日常生活でリスクがありそうなものは、

  • ホルマリン
    • シックハウスや特定の食べ物を避ける
    • 程度は不明
  • ニッケル化合物
    • できれば、鉄なべを使う(鉄は鉄で大量摂取すると発がん性の指摘もありますが、少なくともGroup1ではありません)
    • 程度は不明
  • エストロゲン治療・経口避妊薬
  • タバコ
    • 禁煙、減煙、嫌煙
  • HPV
  • ピロリ菌

だと思います。 生活スタイルによって違いますが、大量摂取でなければアルコールのリスクは小さそうな気がしますし、船乗り・農業従事者など大量に日光を浴びる職業ではなく日焼けサロンにも行かなければ日本人は欧米人と比べて皮膚がんは少ないですので紫外線のリスクは気にしなくても良いレベルだと思います。

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