ずいぶん前から交渉されてきたTPP(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement、Trans-Pacific Partnership;環太平洋戦略的経済連携協定)がついに2015年10月5日、合意されました。

合意されたものの、未だに一般人には内容がよく分かりません。新聞などで詳しく解説されているのでしょうか?2015年11月5日に全文および日本語概要が公表されました。

TPP:環太平洋戦略的経済連携協定

TPP加盟国

TPPは2005年にシンガポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリの4カ国間で始められた経済自由化協定です。

原加盟国4カ国に加え、2010年にアメリカ合衆国、オーストラリア、ベトナム、ペルーが参加、マレーシア、カナダ、メキシコが参加した後、2013年になって日本が交渉に参加しました。

  人口GDP (MER)一人あたり
GDP (MER)
GDP (PPP)一人あたり
GDP (PPP)
原加盟国シンガポールの旗 シンガポール 473.7万人 1,819億ドル 38,972ドル 2,387億ドル 51,142ドル
チリの旗 チリ 1724.8万人 1,695億ドル 10,121ドル 2,430億ドル 14,510ドル
ニュージーランドの旗 ニュージーランド 426.6万人 1,284億ドル 30,030ドル 1,157億ドル 27,060ドル
ブルネイの旗 ブルネイ 40.0万人 145億ドル 37,076ドル 196億ドル 50,116ドル
交渉国アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 3億1465.9万人 14兆2,646億ドル 46,859ドル 14兆2,646億ドル 46,859ドル
オーストラリアの旗 オーストラリア 2129.3万人 1兆0,106億ドル 47,395ドル 7,953億ドル 37,298ドル
ベトナムの旗 ベトナム 8423.8万人 898億ドル 1,040ドル 2,403億ドル 2,783ドル
ペルーの旗 ペルー 2916.5万人 1,275億ドル 4,451ドル 2,458億ドル 8,580ドル
マレーシアの旗 マレーシア 2746.8万人 2,222億ドル 8,140ドル 3,841億ドル 14,071ドル
カナダの旗 カナダ 3412.7万人 1兆5,109億ドル 46,215ドル 1兆3,032億ドル 39,182ドル
メキシコの旗 メキシコ 1億0961.0万人 1兆0,881億ドル 9,566ドル 1兆5,480億ドル 14,560ドル
日本の旗 日本 1億2805.6万人 5兆4,589億ドル 42,821ドル 4兆3,095億ドル 33,805ドル
出典:『環太平洋戦略的経済連携協定』(ウィキペディア 最終更新 2015/10/7 09:25)

12カ国の参加国中、日本が占める割合は低くなく、人口で16%(7億7千万人中1億2800万人)、GDPで22%(24兆2600億ドル中の5億4500億ドル)ですが、人口・GDPともにアメリカが半分近くに上ります。

TPPの交渉分野

21分野にわたる交渉だそうで、ウィキペディアを見ると24に分かれた作業部会で交渉していたようです。

  1. 首席交渉官会議
  2. 物品市場アクセス(農業)
  3. 物品市場アクセス(繊維・衣料品)
  4. 物品市場アクセス(工業)
  5. 原産地規制
  6. 貿易円滑化
  7. SPS(衛生植物検疫)
  8. TBT(貿易の技術的障害)
  9. 貿易救済(セーフガード等)
  10. 政府調達
  11. 知的財産
  12. 競争政策
  13. サービス(越境サービス)
  14. サービス(商用関係者の移動)
  15. サービス(金融サービス)
  16. サービス(電気通信サービス)
  17. 電子商取引
  18. 投資
  19. 環境
  20. 労働
  21. 制度的事項
  22. 紛争解決
  23. 協力
  24. 横断的事項特別部会

医療分野?

僕が気になっていたのは医療分野だったのですが、上のリストを見ると出ていません。

日本医師会やその他団体が反対を表明していたと思っていたのですが、交渉されていなかったのでしょうか?今のところ出てきている医療に関する合意内容は、新しく開発された医薬品の秘密情報の保護期間が8年間になるようだということだけです。

日本医師会などが反対していたのは、日本の保険制度では「医術」についての特許が認められていなかったのに対して、TPPで医療技術に対する特許料の支払いを認めさせられるのではないか、という点でした。

この点は杞憂だったのか、実は交渉されていたのか、よく分からない点です。

著作権の非親告罪化、賠償金ルール

個人的に影響が大きく感じるのは、著作権関連です。

著作権保護期間70年に

著作権が著作者の死後70年に設定されます。某ねずみさん関連でアメリカの著作権期限は伸ばされ続けてきたと言われていますが、多国間交渉の結果70年になった著作権が、アメリカの圧力で今後また伸びるのかどうか、気になります。

非親告罪化

これまで、日本では著作権法違反は「親告罪」という位置づけでした。親告罪というのは、被害者が訴えでないと罪にならないというものです。非親告罪化されると、被害者以外の人・団体の訴えによって著作権法違反の罪に問えることになります。

ただ、著作者の承認を受けた利用かどうか、普通はわからないと思いますので、どういう風に適応されていくのかは分かりません。元の著作をより広めるためにある程度の範囲で二次著作を認めているものもあると思いますが、非親告罪になるとややこしくなりそうです。

賠償金のルール化

著作権の侵害を立証すれば裁判所が一定額の賠償の支払いを命ずることができる「法的損害賠償金」ルールを導入することで各国が一致しました。このルールが導入されれば、権利者が損害額を立証をする必要がなくなり、悪質な海賊版などに対して訴訟を起こしやすくなる一方、軽微な侵害についても訴えられるリスクが増えることになります。
出典:『TPP合意内容 著作権の保護期間70年に』(NHK)リンク切れのためリンクを削除しました

損害賠償を求める際に損害額を算定しなくても訴えを起こして賠償金を獲ることができるルールになるそうです。

今後の流れ

2015年10月5日、ジョージア州アトランタで行われていた会合の結果、交渉の合意が発表されました。いつか、「アトランタ合意」などと呼ばれる日が来るのでしょうか。

今後は、TPPの合意内容を各国が批准していく(条約を発効させるために国内で議会などが承認すること)段階になります。この時点で、詳細な内容が完全に明らかになる、はずです。

アメリカでは、『アメリカTPA法案が成立、TPP推進』でオバマ政権に交渉権限を与えていましたが、これはまとめて最後に承認するかどうか決めるという内容ですので、まだこれから批准しないという選択肢もありえます。

2016年の大統領選挙の有力候補、共和党ドナルド・トランプ氏だけではなく、以前TPPを推進する立場で政府要職にあったヒラリー・クリントン氏もTPP反対に回っています。カナダでも、まだ却下される余地があるという記事『TPP agreement can be rejected by new government, says Privy Council Office』(the Hill Times)が出ています。

日本では余程のことがない限り承認されると思いますが、ここからアメリカなどの圧力で不利な改定をさせられないように、していただきたいなと思います。

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