国民健康保険を筆頭にした日本の医療制度のおかげで、日本で医療を受ける際ほとんどの費用は公的保険で賄われます。国民皆保険という名前で知られるように、大多数の国民や合法的に滞在している外国人は健康保険に加入しています。日本にアメリカのような医療保険がないかというとそういうことはありません。

日本の「医療保険」

日本での「医療保険」はアメリカの医療保険と異なり、民間の保険会社が果たす役割は大きくはありません。とはいっても、医療保険の加入者は多く70%以上は何らかの民間医療保険に加入しているようです。

日本の「医療保険」は公的健康保険制度と高額療養費制度でカバーされない差額ベッド代や交通費(控除の際には医療費に含まれるのです)、先進医療などを保障するものです。いろいろな種類があり、ガンや生活習慣病などの診断時に保険金が下りるもの、手術給付金があるもの、死亡時に保険金が下りるもの、保険を使わなければ「お祝い金」がでるもの、などなどバリエーションは豊かです。

僕も渡米前に民間医療保険を選んで加入しました。保険についての専門知識があるわけではないですが、加入を決めた理由や選ぶときに気にした点、最近気づいた点などを書いておきます。

 

保険が嫌いな人もいる

世の中には、そもそも保険に入るのが嫌いな人がいます。知り合いの医師は「一生、一切保険に入らない」と決めて自動車保険も、地震・火災保険も、生命保険も、もちろん民間医療保険も入っていないという人もいます。

「そんな馬鹿な」と思ってしまいますが、正直、保険に入っていて得られる保険金が払い続ける保険料の割りに合うかというと合いません。割りに合うようだったら保険会社はつぶれますので、必ず保険会社に利益が出るように(=保険料のほうが給付より高くなるように)計算されつくされて保険料が決まります

そのため、貯金、投資したほうがマシだというのは一理あります。でも、ほとんどの人が保険に加入します。それは、何時来るのか分からない災難に備えておきたい気持ちがあるのと、災難が来たときに、すぐ必要なお金が貯まっているかどうか分からないからです。災害に備えて避難グッズを用意するのに似ています。

でも、多くの人にとっては保険は「安心」するために無駄なお金を使っているだけ、という結果になります。

 

なぜ医療保険に入ったのか

僕の場合、なぜ留学前に医療保険に入ったかというと、いくつか理由があります。

  1. 年をとってから加入すると保険料の月々の支払いが増えて、そのとき入るのと総額がそれほど変わらない
  2. 保険料で支払う貯金を今すぐに使う予定はない
  3. 留学中には(たぶん)加入できないので、留学から帰るときには年をとっている
  4. 生活習慣病になるリスクがある(アメリカから帰った時に発症しているドクター、結構います)

決め手は3番と4番です。肥満大国のアメリカで、生活習慣病になって帰国するポスドクってそこそこいると思います。生活習慣病を発症していると、医療保険に入りにくくなりますし断然保険料が上がるので、入るならその前にという考えでした。

 

加入年齢による保険料

ある保険会社のウェブサイトで保険料試算をしてみました。生涯保険料が変わらないタイプで男性、入院日額5000円(ガン10000円)、手術給付金つき、入院60日まで、先進医療保障つき、を選ぶと

加入時年齢 月額保険料 60歳までの保険料 65歳まで 70歳まで 75歳まで 80歳まで
25 1785円 749,700円 856,800円 963,900円 1,071,000円 1,178,100円
30 2030円 730,800円 852,600円 974,400円 1,096,200円 1,218,000円
35 2355円 706,500円 847,800円 989,100円 1,130,400円 1,271,700円
40 2755円 661,200円 826,500円 991,800円 1,157,100円 1,322,400円
45 3290円 592,200円 789,600円 987,000円 1,184,400円 1,381,800円
50 3925円 471,000円 706,500円 942,000円 1,177,500円 1,413,000円

黄色に塗られている箇所は、若いときに保険に加入したときよりも、保険料総額が高くなっている場所です。定年後数年で死ぬと分かっている場合以外は、若いうちに保険に入っていたほうが支払い総額が低いです。金利は計算に入れていませんが、そんなには変わらないでしょう。ハイパーインフレのようなことが起こる可能性を考えなければ、入るなら若いうちです。

さらに持病が出てしまうと保険料が上がります。

日本では、遺伝要素などでは保険料を変えられない(はず)ですので、家族みな同じ病気があるけれどまだ発症していないような人は発症前に入れば保険料が安いものに入れます(はずです)。逆に言うと、他の人はそういう人の分も保険料を払っています。

早く入るメリット・デメリット

安いうちに入るメリットは、毎月の保険料が安く済むということに尽きます。デメリットは、「いったん入ると辞められない」(=同じ条件で入りなおせないから)ので給付がなくてもずっと支払い続ける必要があることです。30歳代以降になると、保険料がぐっとあがっていくので、メリットが薄くなりますが、生活習慣病になるような生活習慣をしている人は、診断される前に入っておくべきでしょう。女性は妊娠出産関係で入院すると既往症ありと判定されて(割安のプランに)入れなくなることもあります。

 

保険会社はどれを選ぶか

各社とも似たようなプランになっています。保険料もほとんど同じです。僕は、外資系ではなくて日系の保険に入りました。(そのうち外資になるかもしれませんが)

ずいぶん前なのでどうやって選んだかほとんど忘れてしまったのですが、「60歳だったか何歳だったかで支払い終了して終身保障(保険が残る)タイプ」から、保険会社をほとんど全社比較して、選んだと思います。破綻に備えて安いプランにして2社を選びました。(ような気がします。)

保険会社が破綻した場合の処理はいろいろあるようですが、あまりうれしいことは起こりません。保険金額が減額されることが多そうです。

保障も各社ほぼ同じですが、目に見えない、比較サイトには出てこない微妙な違いがあるような気がします。医者よりも、病院の事務方で働いている人のほうが分かると思いますが、保険金の支払いに際しての「お伺い」がかかることがあり、かなり細かく病状の確認をされて、何度も書類をやり取りしたり面談に社員が来たりすることがあります。本人負担はないですが、支払いを減らしてその分書類作成料金や面談料金などを払っているというのは、あまりうれしくはありません。(もちろん最低限は必要です。)

疑いがある場合や書類作成前に厳しいとお伝えした上で作成する場合も確かにあるのですが、そうでないこともあります。

「不払いランキング」で検索する(ここの右サイドバーにも検索ボックスを設置しています)とたぶん生命保険のデータですが出てきますので、載っているから駄目だというわけではありませんが気をつけたほうがよいかもしれません。

 

保険の支払い

保険に入っていても、保険金は無制限ではありません。加入してからの契約期間中全体で、ほとんどのものは1000日程度で打ち切られます。上記の例では1095日までなので、入院給付金は最大で1095万円になります。でも、こんなにもらえることは滅多にありません。一回の入院が60日まで、さらに同じ疾患で180日以内に入退院を繰り返すと合計60日までしか保険が出ないからです。

それでも加入してしまうのは、手術一時金や先進医療保障などがあるからです。先進医療保障は、先進医療といって自己負担になってしまう「新しい医療」を受けた場合に自己負担分を保障するものです。先進医療は古くなると保険適応になったり、新しいものが認可されていきます。TPPで医療制度に何か変革があった場合にはさらに変わるかもしれませんが、入っておくと安心できる保障です。

 

リスク分散?

上記のいろいろなことを見ても入りたい場合には、信頼できる(ような気がする)会社を選んで、面倒でなければリスク分散のために複数入っておいても良いと思います。通知義務というのがありますので、2つ目の会社には告知しなくてはいけません。先進医療保障のような実費が保障される部分は重複しないと思いますが、他の部分は重複して支払われます。また、入院・手術の証明書の発行手数料が保険の数だけ必要です。

今までに見た、一番たくさん入っていた人(本人によると弁護士)は、8社の保険に加入していました。当時は手書きだったので泣きそうでした。

 

保険の相談所

世の中には、いろいろな保険を紹介してくれる相談に乗ってくれる相談所なるものがあります。相談所に行くと、いろいろな知識を教えてくれる場合もあります。昔、話を聞いた見たことがあります。今はどうか分かりませんが、相談所のウェブサイトを見るとかなり詳しく解説してくれていますので、良い人にあたれば、詳しくなれるでしょう。

大抵相談無料です。なぜでしょうか。加入者が出たり、相談に乗った分、保険会社からお金が出ているからと思います。なので、インターネット専業でその分保険料が安いことを謳った会社や広告料が少ない会社は宣伝されにくいというデメリットもあります。

そのため、本当に相談者にプラスになる保険を勧めているのかというと、(悪意があるかどうかは別として)分かりません。そもそも、今週末に保険に入ったとして、保険を使うのは何年後でしょうか?そのときに、保険を勧めてきた相談所に文句を言うことができるでしょうか?たぶん、その相談所はなくなっているでしょう。

それでも、知識がないと決められませんので、有用だと思います。

保険マンモス

北海道と四国の一部、離島以外は全国対応しているようです。保険に関するオンラインの資料が豊富ですので、相談しなくても勉強になります。

【ほけんの相談Ch】

全国各都道府県に相談所があります。

みんなの保険ひろば

 関東地方と九州のみの訪問相談サービスですが、面談をした後に「24時間無料で医療相談受付(医師か看護師応対)」というサービスがあってユニークです。最近は医療保険自体に医療相談サービスがついてくることが増えたので、可能になったサービス(使われる回数がそこまで多くないから、たぶん)ですね。電話がつながりやすいかどうかは知りません。

 

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