今日5月9日、リベリアでのエボラ出血熱の流行に終息宣言が出る見込みになっていますが、シエラレオネ・ギニアでの流行は続いています。そんな中、治癒したはずの男性からエボラウィルスが検出されたというニュースが出てきました。

エボラウィルスが潜伏して発症

昨年2014年9月にエボラ出血熱を発症したアメリカ人のイアン・クロージャー医師は、ジョージア州アトランタのエモリー大学病院で治療を受け一時は危篤状態になりながらも回復しました。2ヶ月後に目の痛みのために病院を受診して検査したところ、活動性のあるエボラウィルスが検出されました。視力も低下していたようで、「ぶどう膜炎」という眼の炎症と診断されたそうです。

参考ニュース:『エボラ回復後に目からウイルス検出、初の事例を米国で確認』(AFP)

英語ニュース記事

About two months after being released from the hospital, he experienced a piercing pain in his left eye, he told The New York Times. The pressure in his eye elevated while his vision decreased.
After repeated tests, doctors discovered the virus was still living in his eye.
出典:『American doctor declared free of Ebola finds the virus in his eye months later』(CNN.com)

Dr. Crozier, 44, ruefully calls himself a poster child for “post-Ebola syndrome”: Besides eye trouble, he has had debilitating joint and muscle pain, deep fatigue and hearing loss. Similar problems are being reported in West Africa, but it is not clear how common, severe or persistent they are. There have even been reports of survivors left completely blind or deaf, but these accounts are anecdotal and unconfirmed.
Doctors say the eye problems, because they threaten sight, are the most worrisome part of the syndrome and most urgently need attention. Dr. Crozier’s condition, uveitis — a dangerous inflammation inside the eye — has also been diagnosed in West Africans who survived Ebola.
出典:『After Nearly Claiming His Life, Ebola Lurked in a Doctor’s Eye』(New York Times)

前々から「エボラ後症候群」として目の症状が出ることがあったそうです。関節痛、筋肉痛、全身倦怠感、聴力障害とともに、眼の症状としては目の痛みと視力障害が出たそうです。

 

精液にもウイルス

以前にも、回復後には精液の中にエボラウイルスが検出された例が昨年ニュースになっていました。今回のものは、症状が出ているのでただ検出されただけのものとは違います。

この目の症状は、抗炎症作用のある副腎皮質ステロイドを使うと悪化するそうです。

今回のイアン・クロージャー医師の精液から検出されたかどうかはニュースには出ていませんでした。

 

ニューイングランドジャーナル

最も権威がある医学雑誌である、the New England Journal of Medicineにケースレポートですが発表されています。短い症例報告です。

Persistence of Ebola Virus in Ocular Fluid during Convalescence, N Engl J Med. 2015 May 7. DOI: 10.1056/NEJMoa1500306

無料公開されているようですが、引用するにも見積もりをとる必要がありそうですので、気になったところだけ・・・

  • 退院時には精液からウイルスが検出されていた
  • 目のチェックは最初から行っていたが、急性発症した
  • 症状は、「眼が痛い・充血・視力低下」なので知っていれば見逃すことはなさそう
  • 1995年の流行時には71名の生存者を調査して3名発症した
  • ウイルスが活動している
  • ステロイドと対症療法で治療した

ニューヨークタイムズには、

The usual treatment for inflammation is steroids. But they can make an infection worse.

と、ステロイドで悪化したのかと思うような記載があったのですが、論文では抗ウイルス治療は初期治療でしか使っていなかった(か僕が見逃している)ようです。

 

 

 

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