アメリカの大学は大きく分けて3種類あります。ひとつはUniversity(ユニバーシティ)で総合大学です。もうひとつはLiberal Arts College(リベラルアーツ・カレッジ)で主に全寮制で少人数教育を行う大学です。ユニバーシティとリベラルアーツ・カレッジは基本的に4年制です。最後のひとつはCommunity College(コミュニティ・カレッジ)でコミュニティ(地域社会)という名前の通り地域に根ざすタイプの大学で、2年制です。

公立大学=州立大学

国立の大学はアメリカにはほとんどありません。かわりに、医学生物学領域の場合にはNIH(アメリカ国立衛生研究所)のような巨大な国立研究機関があります。NIHは6000人以上の科学者を抱える研究所(日本の理化学研究所は3500人くらい)であるだけではなく、研究費の分配を決める機能も担っています。

アメリカの公立大学は州立です。日本では学費が全国ほぼ一律ですが、アメリカでは大学ごとに大きく異なります。さらに特徴的なのは「大学のある州に住んでいる場合には学費が安い」「州外の場合には学費が高い」ことです。大学によって違いますが、州外在住の場合には学費が倍から3倍以上になってしまいます。「州に住んでいる」とみなされる条件も各大学によって違っていて、親が住んでいる必要がある場合や他の親族でもよい場合、決まった年数住んでいる必要がある場合などの条件をクリアする必要があります。

日本に住んでいる日本人の場合には、クリアできる可能性は低いですが、長期間親が駐在していた場合などはひょっとしたら適応されるかもしれません。

州立大学には、ユニバーシティとコミュニティカレッジがあります。

 

レベルが高いのは私立

日本と違って、アメリカ・イギリスなどの大学は公立大学が低く、私立大学のレベルが高い傾向が強いです。アメリカの大学ランキングを見ると、一番ランキングが高い総合大学はカリフォルニア大学バークレー校で、20位です。日本には明確な大学ランキングはありません(と思います)が、ランク付けをしてあるウェブサイトを見てみると一流大学といわれる大学のほとんどは国立大学(今は、国立大学法人)です。

リベラルアーツ・カレッジは私立大学です。

 

アメリカの大学は学費が高い

よく言われることですが、アメリカの大学は学費が非常に高いです。日本もいろいろ言われることはあります(記事『日本の大学学費』)が、日本では有名大学ほど学費が安い傾向があります。

アメリカでは、総合大学の学費は私立で年額35,000ドル~50,000ドル(1ドル120円換算で420万円から600万円)、州立でも少なくとも25,000ドル(同300万円、州内の場合は半額以下)と日本とは比べ物にならないほど高額です。また大学を4年で卒業するのが難しく、その分学費は余分にかかります。ランキングが高い大学では4年での卒業率は高いですが、中程度の大学になると4年卒業率が50%程度のところも会いります。

 

コミュニティ・カレッジ

コミュニティ・カレッジはほとんどが州立で学費が安いため、大学卒業までにかかる学費を減らすために利用される場合があります。コミュニティ・カレッジは2年制で、カレッジという名前はついていますがユニバーシティ内のカレッジやリベラルアーツ・カレッジとは全く異なるものです。

大部分が地方自治体によって設立された公立或いは州立の教育施設である。コミュニティという表現にあるように、その地方の住民、税金を払って住んでいる人たちへの高等教育、生涯教育、継続教育の場として設立された場合が多い。 日本における教育制度においては「市民大学講座」と比較される場合があるが、市民大学講座制度があくまで講座であり教育施設ではないのに対し、コミュニティ・カレッジは法的に教育施設として位置づけられている。2年制の高等教育機関である事から、日本においては短期大学に近い制度として紹介される。
出典:『コミュニティ・カレッジ』(ウィキペディア 最終更新 2015/1/1 14:49)下線は管理人による改変

基本的にはウィキペディアの記事にあるように日本の短期大学に近く、どちらかというと職業訓練校、地域の生涯学習のような形態ですが、アメリカの場合には「コミュニティカレッジの単位を4年制大学で認定して編入できる」制度があるため、学費を節約するために使われています。コミュニティ・カレッジは地域社会用なので留学対象にはならないと書いているウェブサイトがありますが、ウィキペディアには

ワシントン大学は全米でも有数のトップ州立大学であり、編入してくる生徒の67%はシアトル周辺のコミュニティ・カレッジからの編入生である。編入生の多くがコミュニティ・カレッジ経由で入学している。カリフォルニア州のUCLAやUCバークレーなども同じようにコミュニティ・カレッジからの編入生が多い。 勉強を進めるための入り口として、コミュニティ・カレッジに目を向ける留学生が増えている。この米国独特の学校の多くが、素晴らしいプログラム、編入時の振り替えが可能な単位、妥当な授業料、支援してくれる環境を持っている。米国の大学生の40%以上が、この2年制の大学に通ってる。 コミュニティ・カレッジで学ぶ留学生の数が急増している。質の高い講義内容、簡素化された入学手続き、安い学費、学生への手厚い支援システム、熱心な教員、小規模のクラスを提供するコミュニティ・カレッジは、技術・職業教育から継続教育や学位取得プログラムに至るまで、米国の高等教育の多くの側面に触れるユニークな方法を提供している。

とあります。知り合いにもコミュニティカレッジに留学して4年制大学へ編入した人がいますがアメリカと日本の二重国籍者なので、一般的な日本人学生に適応されるかは不明です。コミュニティ・カレッジを修了後に編入する制度はUniversity Transferと呼ばれていますが、注意すべき点は「提携しているコミュニティ・カレッジと総合大学の間でし編入できない」ところで、どこのコミュニティ・カレッジでもよいわけではなく、総合大学でも有名私立大学などはUniversity Transferでは編入できないようです。

 

奨学金・学費免除

アメリカでは、奨学金の呼び名は様々で、scholarship(スカラーシップ)が一般的と思いますが、継続しない一度きりのものはgrant(グラント、給付金のこと)やaward(アワード、賞のこと)という名前こともあります。学費の免除はfinancial aid(ファイナンシャル・エイド)と呼ばれます。

日本人が日本の大学に通う場合に一番よく見かけるのは、国の外郭団体である独立行政法人、日本学生支援機構JASSO(旧・日本育英会)です。日本学生支援機構は「奨学金」を出していますが、貸与で返済義務があります。インターネット上を検索すると、日本学生支援機構からの奨学金の返済のために家族が破産したとか、そういう類の記事をたくさん見かけると思います。他にも「奨学金」を出している団体はありますが、日本学生支援機構と同じように返済義務がある貸与の場合が多いため、注意しなくてはいけません。

一方、アメリカでは「奨学金」というと給付で返済義務はありません。給付条件が数多く設定されており、アメリカの団体から給付される「奨学金」で日本人を含む留学生が対象であるものは決して多くありません。日本の高校卒業後にでる奨学金というと、ハワイ大学限定の皇太子明仁親王奨学金くらいしか見たことがなかったのですが他にもあるかもしれません。皇太子明仁親王奨学金は学費全額に加えて渡航費と年間25,000ドルの生活費も支給されるという手厚いものですので、ハワイ大学で勉強したい場合には非常に良さそうです。

昨年から、日本学生支援機構と日本政府が新しい海外留学奨学金制度をはじめており、「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」という名前なのですが日本学生支援機構による奨学金なのに返済義務がない給付です。大学院以降の奨学金は他にもよくあり、大学の担当部署に行けば教えてくれますし、公開されています。

多くの大学にこういったウェブサイトがあって、情報提供を行っているはずです。また、たとえば慶応義塾大学の場合には、慶応の学生向けの奨学金情報も多いのですが、慶応の学生専用ではない奨学金の情報も多く乗っています。日本学生支援機構のウェブサイトにも、関連情報が載っています。

 

また、日本の大学と同じように、大学に学費免除を申請することもできます。体験した方のブログ「Financial Aid」(アメリカリベラルアーツカレッジ留学のブログ)がありました。一部引用させていただくと、

こうして応募した書類に基づき、Need-blindの学校であれば、学校とは別の基準でAidの審査が行われます。ただ、外国人にもNeed-blindで奨学金を出してくれる学校は非常に少なく、ほとんどの学校がAidの応募状況も含めて大学自体の合格判断を行います。このような背景もあり、外国人へのFinancial Aid支給状況のデータが非常に参考になります。外国人にもAidを支給してくれる学校を中心に学校選択を行ったのは、前のブログに書いたとおりです。
Aidの応募のときには、もらえるか半信半疑でしたが、いくらかサポートをもらえることとなり、今は一安心しています。

だそうで、日本人が学費免除を受けることができる学校は多くはないようです。この記事のブログ(アメリカリベラルアーツカレッジ留学のブログ)は志望校の選定から申請までいろいろ書いてあり非常に有用そうです。(2013年の話のようで、特化ブログになっているのでコメントをつけて御返事を頂けるかは5分5分と思います)

 

大学院への留学であれば医学生物学系は基本的に学費はかからない上に、生活費が援助されます。ドクター(博士)を取ってポスドクをした後の進路は厳しい場合もありますが、日本も同様だと思いますので理系大学院に関しては、アメリカの学費は圧倒的に日本よりも安いです。

学費が無料になる仕組みは、大学院生の所属先の教室の教授がリサーチアシスタント(RA)、ティーチングアシスタント(TA)として学生の学費を肩代わりし、さらに総額2万5千ドル程度の生活費も支給するようになっています。リサーチアシスタントの場合は教授の持っている研究費から、ティーチングアシスタントは教授が行う教育の補助として大学から、主に資金が出るようです。なので、大学院に入った学生を自分のところの大学院生として採るかどうか、試用期間があったりします。どこの教室にも採用されない場合があるのかはわかりません。また、学位を無事に取得できる確率も日本ほどは高くありません。今の研究室にアイビーリーグの博士課程を終えた後採用された人がいて、聞いてみたところ入学時14人いた学生のうち、学位を取れたのは10人だと言っていました。

文系の大学院の場合は、非常に高い学費を支払う必要があるので、学位を取得するのは大変そうです。

 

大学のランキング

アメリカでは、詳細な大学ランキング(US News Education)が公開されています。他にもランキングを作っているところはありますが、US Newsが一番使われていて信頼できるものだと思います。

US Newsのサイトでは、すべての情報をみるに有料会員(年間4000円強)になる必要がありますが、基本的なデータは無料で見られます。

下にリンクを貼ってある通り、冊子体の情報誌も出しています。パラパラと情報を見るには本のほうが好きですが、検索性などの機能性でウェブ版には敵いません。しっかり見るにはウェブ上の有料会員になる必要があります。特に日本からだと、冊子体を購入するよりは(データが残りませんが)有料会員のほうが良さそうです。

ただし、ウェブ上の無料のデータよりは冊子の情報のほうがだいぶ詳しく書かれています。アメリカの本屋では10ドル程度で売っています。Kindle版なら日本でもそれほど変わらない値段ですので、Kindle版なら買っても良いかもしれません。

2017年版

記事更新時点(2016年5月下旬)時点では、大学院バージョンだけが出版されています。日本のアマゾンストアには出品が今のところありません。

2016年版(2015年秋に出版)

アメリカAmazon:Best Colleges 2016Best Graduate Schools 2016

  • 日本のキンドルストア:Collegeは今のところなし、Graduate Schoolはあり
  • アメリカのKindle version:どちらもあり(ただし、日本のアカウントの場合は色々注意が必要です)

2015年版

日本語で読めるアメリカ大学ランキング

日本のウェブサイト「アメリカ大学ランキング」では、日本語でアメリカの大学ランキングを公開しています。(中国語やタイ語のウェブサイトもあります。また、高校ランキングも公開しています)

URLにはでてきませんが、栄陽子留学研究所という企業が運営しています。

『アメリカ大学ランキング』は1997年に書籍の形で出版されました。 その後は書籍としての改訂はありませんでしたが、高校や公共の図書館ではこの手の情報物がない為手垢がついてボロボロになるまで読まれており、情報を更新した新しい版が求められていました。 そこで、2006年にアメリカの大学へ留学を考える人たちにとって必要な情報が不足している現状を改善する目的も兼ねて、新たに誰にでも見られるインターネットで閲覧という形態をとり、経済産業省所管の独立行政法人・中小企業基盤整備機構から助成金を得て作られたのが当サイトです。


引用元:『アメリカ大学ランキングとは

4年制大学をほとんど網羅する14,000の大学ランキングが毎年更新されるそうで、データはWintergreen Orchard Houseが出しているランキングを使用しているそうです。

US Newsのランキングをよく見かけるような気がしますが、ひょっとすると所属大学のランキングがUS Newsのほうが高いだけ、かも知れずどちらがメジャーかはわかりません。栄陽子留学研究所のデータにはコミュニティ・カレッジは含まれませんが、US Newsでは別項目としてコミュニティ・カレッジがあります。

ランキングを見る上で重要なことは行きたい学部のランキングで、大学の総合ランキングではありません。総合ランキングが上位の一流大学はどの学部もランキングが高めですが、中堅以下はある学部だけ全米で五本の指に入るけれど他の学部は100位、ということもあります。

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