2016年2月にWHOが警告を発して以来、時折ニュースに出てくるジカ熱のワクチンが、やはり急ピッチで開発されているようです。ジカウイルスの発見はかなり古く、1947年に分離されましたので、70年間あまり関心をむけられなかった病原体が突如として話題に上り、瞬く間に薬剤が開発される、というある意味現代の象徴的な事例になりそうです。

ジカウイルスとフラビウイルス科

ジカ熱の病原体、ジカウイルスは数年前から日本で感染地域が拡大するデング熱と同じタイプのフラビウイルス科に属するウイルスですが、発熱がおもな症候ですがデング熱よりも症状が軽いことが知られていたため注目されていませんでした。日本脳炎や黄熱を起こすのもフラビウイルス科ですから、デング熱もその中では症状が軽いほうになるわけですが、それよりも軽傷とみられていました。

2016年に重篤な先天性脳障害である小頭症を高率に発症させるという報告がWHOから出され、感染が拡大していたブラジル政府も認めたために、急激に人類の関心事としてクローズアップされました。さらに、ときに死に至るギランバレー症候群とも関連があるとされました。

同じフラビウイルス科のデング熱でも、横断性脊髄炎・ギランバレー症候群が合併することがあるとされていたようですが、ジカウイルス感染症では急性感染兆候が軽いのに重篤な合併症を起こしてくるようなのです。

ジカウイルスのワクチン開発

1947年の発見からすでに70年ほど経っていますが、これまでワクチンを開発しているグループもあったのかもしれませんが、実用には至っていませんでした。そもそも、軽傷であると思われていたため、他のマラリアだったり、結核だったり、HIVだったり、最近ではデングウイルスやエボラウイルスといった、社会的影響が大きく重篤な感染症を抑え込むための研究に力が向けられて、ジカウイルスはあまり関心を持たれませんでした。

ウイルスの種類は膨大にあり、ちょっとした風邪を起こすのもウイルスですし、ガンのような一見感染症とは関係なさそうな病気もウイルス感染と関係しているという報告が数多くあります。なので、ジカウイルスが関心を持たれなくても当然だったのです。

NIHの見通し

アメリカの厚生労働省(+各種の国立研究所)に当たるアメリカ国立衛生研究所(NIH: National Institutes of Health)のウェブサイトには、ジカウイルスのワクチン開発に関するページがあり、随時更新されています。

2016年8月18日の更新では、

NIAID is developing multiple vaccine candidates to prevent Zika virus infection.

...中略...

A safe and effective, fully licensed Zika vaccine will likely not be available for several years.

出典:『Zika Virus Vaccine Research』(NIH)

となっており、ワクチンが複数開発されていることとともに、完全に認可されるまでには数年かかると書かれています。数年かかるとは言っても、すでに臨床試験が行われていて、効果があって、ジカウイルスの神経毒性がホンモノであれば、もっと早く手に入るのではと思います。

  • DNAワクチンは第1相臨床試験が終わり、2016年8月にNIH傘下のNIAID主導でさらに試験がはじまった
  • 生ワクチンがブラジルで第3相試験されている
  • 人工ウイルスを用いたワクチンも開発中
  • 不活化ワクチンがWRAIRで日本脳炎やデング熱のワクチンで使われたのと同じような方法で試されている
  • マイクロRNAを作るウイルスがグラクソスミスクラインとNIAIDで試験されている

と中略部分に書かれていました。(2016年8月22日現在)

ジカウイルスワクチンのニュース

日本語でもいろいろなニュースが出ています。日本語ニュースは不正確なことも多いですが、先を追うように急ピッチで開発が進んでいるのがわかります。

  1. 妊婦襲うジカ熱のワクチン開発が困難な理由(東洋経済)—2016年2月
  2. 武田薬品、ジカ熱ワクチン開発の可能性を検討=幹部(ロイター)—2016年2月
  3. ジカ熱ワクチン、マウスで作製 ハーバード大など(日本経済新聞)—2016年6月29日
  4. ジカ熱 2種類のワクチン開発 感染防御に成功(NHK「かぶん」ブログ)—上記、日経と同じ
  5. ジカ熱、サルでワクチン有効 米チーム確認(西日本新聞)—2016年8月5日

3~5はハーバード大学などのグループなので、同じ気がしますが構成グループ数が増えてワクチンの種類も増えているので、合同で出したのでしょうか?(読んでいないし調べていないので知りません・・・)

3、4はNatureで、5はScienceなので、1か月の時間差でしっかりとした論文になるとは思えないので、内容が気にはなります。ジカ熱が話題になったのが2月のことなので、2月から初めて6月に論文発表ができたとしたら、すごいことではありますが速報的なものなのでしょうか・・・

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