薬のブリスターパッケージ

厚生労働省が、2016年(平成28年)度から健康保険で扱う薬剤の価格「薬価」を決める方法を変える薬価制度改革を行うことを決めたようです。

どう転ぶかはわかりませんが、「製薬会社は猛反発」というニュース記事(読売新聞)も出ています。

後発薬(ジェネリック医薬品)の薬価削減

報道されている2点の一つ目は、後発薬の薬価をさらに切り下げるという点です。後発薬の薬価を先発薬の50%(現在は60%)にしようという趣旨のようです。

特許切れの成分でつくる後発医薬品(ジェネリック)の発売価格を新薬の6割から5割に引き下げる。後発薬が出ても売れ続けているブランド薬の値下げも強化する。高齢化で膨らむ医療費に歯止めをかけるとともに、患者の自己負担も減らす。
出典:『後発薬、新薬の半額に 薬価制度改革で厚労省骨子案』(日本経済新聞)

薬価

薬価というのは医薬品の価格のことですが、日本の場合は国が決めた公定価格で、外来診療など出来高払いの場合には薬価の3割(健康保険の自己負担割合)が自己負担になります。健康保険を使っている場合には、この価格を守らなければなりません。

検索した時などに、時々「点」で書いてある時がありますが、「1点」は「10円」に換算されますので、「100点」だと1000円のことです。何も書いていない場合には「円」のはずです。

後発薬(ジェネリック医薬品)

後発医薬品は、別名ジェネリック医薬品と呼ばれるもので、最初に売りだされた医薬品(先発薬)の成分に対して特許が切れた場合に発売される医薬品です。「ゾロ」とも呼ばれていました。(ぞろぞろと出てくるから、だそうですが、確証はありません)

基本的に「有効成分」の配合が先発薬と同じですので、薬効も「同じはず」ですが、製剤する際の添加物などが違うので、効果が同じとは限りません。先発薬は承認の際に臨床試験(実地での治療効果のテスト)がありますが、後発医薬品は承認されるためにそこまで必要になりません。

開発・承認されるのにかかる費用が先発薬とくらべて圧倒的に安いため、安く販売されます。

医療費の総額を抑えたい政府によって、後発医薬品の利用が半ば強制されています。(ペナルティがあるので、推奨というレベルは超えています)

新規開発薬の売上によって値段切り下げ

新規に開発・販売開始された先発薬についても、売上が多いものの薬価を切り下げるという方針が発表されています。これに対して、製薬業界が反発しているらしいです。

 国内での売れ行きが予想外に伸び年1000億円を超えた医療用医薬品の値段(薬価)を引き下げるという新ルールを、厚生労働省が来年の診療報酬改定から導入する方針を固めた。
 保険適用された薬が対象。医療費が膨れあがるのを防ぐためだが、製薬業界は新薬開発を妨げると猛反発している。
出典:『ヒット新薬、薬価下げ検討…製薬業界は猛反発』(毎日新聞)

収入が強制的に減らされる政策なので、反発するのは当然ではあります。乱暴な政策に見えますが、よく考えると当然の施策だと思います。

薬価と開発コスト

なぜなら新規医薬品の値段を決める際、「開発にかかった費用を回収するため、売上の見込みを申請して値段に上乗せすることで開発コストを回収する」仕組みになっているからです。売上の見込みが小さく見積もられた場合、開発コストの上乗せ分が上乗せされたまま、見込みよりも多くの薬剤が販売されることになり、保険制度を圧迫します。

本当のところがどうかは知りませんが、製薬会社からすると見込み販売量を低目に見積もることが利益につながってしまう制度です。これを適正化する政策だと思います。

新薬開発への影響?

言いたいことはわかりますが、新薬開発に影響する可能性はないと思います。

仮に日本で承認されなかったとしても、他の国で売るために開発しますし、そもそも開発コストを回収するために薬価に上乗せされること自体は認められています。

日本の風土病と言ってもよいHTLV-1感染症や極東アジアのエキノコックス症のように、患者数が少なくて全世界での販売は見込めない薬剤の開発は妨げられるかも知れませんが、そもそもそれほど開発が進んでいないような気がします。

心配なこと 

が、閾値が設定された途端に、ギリギリ超えない線でとどまるために売り渋りなどが起こったりしないか心配です。病院・医院・薬局、更には商社が持つ在庫の価値が下げられてしまうので、在庫を持てないことになるという心配もあります。(必要な人の手に渡りにくくなる)

先発薬は後発薬と違って、手に入らない場合に同じ効果の薬剤に切り替えるのが大変ですから、入手しにくくなった場合は混乱しそうです。また、薬価が下がったからといって製薬会社が卸値を下げるとは限らない気がします・・・。売れた薬の薬価を下げるので、その薬はよく使われるもので更に代えがないという、使う側にはかなり不利な状態で、最終販売価格だけが強制的に下げられることになります。最悪の場合、病院の赤字が膨れ上がるという自体になりかねないような。

患者さんの負担が減るのは良いのですが、こちらは混乱を招きそうな気がしてなりません。

 

August 2017
Mo Tu We Th Fr Sa Su
31 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 1 2 3

ログイン(DISQUS/Facebook/Twitter/Google)なしでもコメントでき、その場合管理人の承認後表示されます。