エボラ出血熱とMERSの再発』で記事にしていたイギリス・スコットランドの女性看護師は、「髄膜炎」を起こしていたことがわかりました。回復してきているようです。

髄膜炎の「原因」はわかりませんが、再び全身症状を起こしたわけではないというのは、少しだけ安心できるニュースです。

エボラ出血熱の再発

話題になっている症例は、2014年12月末にシエラレオネで援助活動中エボラ出血熱を発症したスコットランド人の女性看護師(39歳)です。すぐにイギリスの病院に移送され、危険な状態に陥ったものの2015年1月24日退院しています。

2015年10月9日に体調を崩しスコットランドの病院に入院し、イングランドのエボラ出血熱を治療した病院に再入院しました。当初、危険な状態とされていましたが、現在は回復傾向にあるそうです。

濃厚接触者は?

10月11日時点で25人が経過観察されていましたが、10月30日時点で続報がないということは25名の接触者の中に発症者はいないものと思われます。

症状・エボラウイルスは?

当初は再燃したことだけが報道されていて詳細がわからなかったのですが、「髄膜炎」を起こしていたようです。エボラウイルスが潜伏しながら少しずつ増殖したものと思われるというニュースが出ていましたので、ウイルスが検出されたことは間違いなさそうです。(参考:『Ebola caused meningitis in nurse Pauline Cafferkey』BBC)

ウイルスは検出されたものの、髄膜炎が起こったキッカケや髄膜炎の原因は、わからないまま終わるか、今後また続報で出てくるかもしれません。(病原体が病気を起こすとき、直接からだの細胞に感染して細胞を死滅させることで症状が出る場合と、ウイルスを排除するための免疫反応が過剰に起こり細胞が死滅する場合、その両方、などの可能性があります)

髄膜炎(meningitis)

髄膜は、脳の本体を囲む軟膜・くも膜・硬膜の3つをまとめたもので、脳を保護しているだけでなく脳に栄養を送る血管が走っています。この髄膜に炎症が起こると髄膜炎と呼ばれます。髄膜だけが炎症を起こしている場合は髄膜炎、脳の一部が炎症に巻き込まれた場合には髄膜脳炎と呼ばれますが、「髄膜炎」と言われる場合でも多くは髄膜脳炎です。

「髄膜炎」だけであれば、回復すれば後遺症が残らないはずですが、頭痛が残ったり性格が変わってしまったりと後遺症が出ることが多いです。 

髄膜炎の原因

ほとんどのものは無菌性髄膜炎と呼ばれるもので、細菌・カビなどの明らかな病原体が見つからず、回復する可能性が高いものです。逆に細菌感染による細菌性髄膜炎(別名、化膿性髄膜炎)の場合は症状は重大で、進行は劇的です。救急外来で受付したときには何とか元気でも、待っている間に悪くなる「救急」疾患です。

エボラウイルスによる髄膜炎がどのような病状を呈して、どんな治療でどうなったのか、いずれ明らかにされると思います。そもそもエボラウイルスによる髄膜炎はまれなはずですが、エボラ出血熱の症状がなかった感染者(不顕性感染)でも起こるかもしれませんが、最初に脳に感染する感染症でもありませんので、恐らくないでしょう。

症例報告が出たので、エボラ回復者がそれらしい症状を訴えた場合、(どこでも検査ができるわけではないにせよ)診断は付きやすいと思います。

ウイルスは体外に出るのか?

イギリスで経過観察された25人がどの程度の接触を持った人たちなのかわからないですし、25人観察したら何人感染するのかわからないですが、アメリカでは通常対応した病院で二次感染が発生し、スペインでも感染防御が破綻して二次感染が出ています。

エボラウイルスが再燃して髄膜炎になっても、経過観察された25人中、3週間経過時点でひとりも二次感染していないのは、良いニュースだと思います。

男性の場合は精液から長期間にわたって排出されていて(記事『治癒後にエボラウイルスが見つかった精液と眼、共通点』)、精液中のウイルスから感染して死亡した例があるので、そちらのほうが問題ですが。

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