Yahoo!Japanに『植物を丸ごと透明化 解剖不要で内部の観察可能に 名古屋大が成功』という速報ニュースが出ていました。毎回同じように綺麗になるのかというと、そんなことはないと思いますがかなり綺麗で見惚れるような画像が出ています。

透明化した植物

Yahoo!Japanの記事はITMediaからの転載です。Yahoo!記事でも使われていた画像(上記画像と同じようなもの)以外にもいくつか画像が出ています。

透明になった植物を染めた画像CC BY3.0 on Development (http://goo.gl/jqi0gj)

綺麗です。(元の画像はもっと精密な画像です)

 クロロフィル

透明化したい原因は、クロロフィルです。クロロフィルは別名葉緑素といわれる分子で、文字通り「葉っぱが緑色に見える素」です。植物が光を栄養にするために行う光合成をするために、光を吸収してエネルギーにする役割を担っている重要な色素です。

光を吸収してしまうので、顕微鏡で観察すると内部構造がわからなくなってしまいます。人間では、皮膚や毛髪、眼などに全身にあって色を作っているメラニンや、リポフスチンなどの老廃物が同じように(もしくは光を吸収して別の色の光を出すので)内部構造を調べる障害になっています。人間のメラニンなどの色素も光をエネルギーに変える機能があり、網膜のように使う組織やビタミンDのように光で合成が進む物質もありますが、植物ほど積極的には使われません。

ニュース記事と元論文

YahooやIT Mediaのニュース記事を読むと、植物を透明化させることができたことが書かれているだけで、「透明人間ならぬ透明植物を栽培できる」ような気がするのですが違いました。

透明化の方法

元論文『ClearSee: a rapid optical clearing reagent for whole-plant fluorescence imaging』(Development 2015, PMID:26493404)には詳細が書かれています。

  1. ホルマリン固定(内部構造が変わらないように、固める作業)
  2. ClearSee溶液に漬け込む
  3. 細胞核染色などを行う
  4. 観察

という手順で、生きたままの状態で透明化させるわけではなく、観察するのに支障をきたすクロロフィルの色を脱色するというものでした。ClearSee試薬につける時間が最低4日から1ヶ月以上と、手軽にすぐできるようなものではありませんでした。

ClearSee溶液

ClearSee溶液は組成は秘密で高く売られるのかなと思ったら、公開されていました。

  • 10% キシリトール
  • 10% デオキシコール酸ナトリウム
  • 25% 尿素
  • 水で溶かす

Development論文より翻訳

数年前から、いろいろな試薬を混合して脱色を試みた論文があちこちから出ていました。特許を取っているかも知れませんし、もう少し改善した試薬が発売されるのかもしれません。先が楽しみで、わくわくする研究結果だと思います。

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