2015年4月29日、日本の安倍総理大臣がアメリカの上院・下院合同議会で演説をしました。日本の総理が合同議会で演説するのは史上初らしいので、それはすごいということで議会のウェブサイトから見られる生中継を(午前中なので何度か離席しましたが)見ていました。

安倍総理の前評判は?

安倍晋三首相が訪米、日米首脳会談』の記事でも書いていますが、アメリカでの安倍総理の知名度がかなり低く、最近のある調査では75%近くが「Shinzo Abeについて"never heard"、聞いたことがない」と答えたそうです。3月に同じくアメリカ上下院合同議会で演説したイスラエルのベンヤミン・ネタニアフ首相を引き合いに出し、「注目度が低い」と書いていた記事もありました。

ただ、ネタニアフ首相は2011年にもアメリカ上下院合同議会で演説していますし、首相の在任期間も安倍晋三首相よりずっと長く、1996年6月から1999年7月、2009年3月から現職、と9年間首相を務めています。安倍総理の場合には2006年9月から2007年9月、2012年12月から現職、と首相在職期間はまだ3年半です。

ネタニアフ首相は、「イスラエル国」で出生した初めての首相ということもありますし、中東はイラクやシリアなどアメリカが介入している地域ですので、「安定」している日本国の首相がメディアに登場する機会が少ないのは当然だと思います。

イスラエルと日本の扱いの違いは、例えばアメリカ大使の職に表れています。アメリカは安定した同盟国の大使職は論功行賞(関連記事『リッパート大使』)で与えていて、在日本大使は故ジョン・F・ケネディ大統領の娘、キャロライン・ケネディ氏で、実務で選ばれているわけではありません。他方、在イスラエル大使はダニエル・シャピロ氏(Daniel B. Shapiro、Wikipedia)で、もともと中東・北アフリカの専門家でした。

 

議会演説で注目されていた点は?

演説前に、日本のメディアに注目されていた点は、「第二次世界大戦への謝罪」「慰安婦問題への謝罪」でしたが、アメリカでは「第二次世界大戦への言及」「TPPへの言及」でした。

日本の戦後賠償問題や慰安婦問題に熱心に取り組んでいるカリフォルニア州選出の日系人下院議員、マイク・ホンダ議員は、「慰安婦への謝罪をする時だ」という記事をCNNに寄稿していました。また、日本のニュースによると、事前に他の議員2人とともに謝罪要求を行い(『「安倍総理は慰安婦問題で公式謝罪すべき」 米議員』テレ朝日ニュース リンクが切れました)、上下院合同議会へ元慰安婦の女性を招待していた(安倍首相演説に元慰安婦招待=米議員』時事通信)ようです。

アメリカで出ていた記事では、野党がTPPや日本の戦後対応について批判している中で、野党の勢力が強い議会で行う演説で、安倍総理がどういう話をするのか、という点は興味を持たれていたようです。

議会が終わった後に、同僚のアメリカ人と話していたときに「貿易と慰安婦のなんか言ってた?」と言われたので、普通のアメリカ人もある程度関心・知識は持っていたようです。

 

安倍総理の議会演説を見た感想

アメリカの国会中継を見るのは初めてでした。議会を見ながら中継をキャプチャしたものはこちら『安倍晋三総理によるアメリカ上下院合同議会演説』です。中継の解像度が低かったので画像が良くありません。(利用規約に利用可だが広告があるページ不可というようなことがあったので、別ページにしました。)

日本の議会と違って、話の途中に野次ったりなどの妨害はありませんでした。

日本のメディアではすでにあれこれと記事が出ていますが、日本のニュース記事を読む前にこの記事を書いています。

一種のショーだった

アメリカ人というと、「大雑把で適当」というイメージでいつも語られますが、議会が始まるときの様子はかなり形式的で、重要人物の名前を読み上げて拍手で迎え入れる、というのをしばらく続けていました。かなり意外ですが、ショーが好きなアメリカらしいといえばらしいです。

安倍総理大臣が演説を始めてから、いろいろな人を紹介し始めました。駐日大使のキャロライン・ケネディ氏や、ファーストレディの安倍昭恵夫人、硫黄島の戦いに参戦したアメリカ兵士のスノーデン将軍、硫黄島の戦いで戦死した旧日本軍の栗林忠道大将の孫、などの人たちを紹介していました。戦後の和解をアピールするためか、スノーデン将軍と新藤義孝衆院議員(栗林大将の孫)に固い握手をさせるというパフォーマンスをしていました。ショーを見ているようでした。

演説内容

安倍総理の演説は、ものすごくゆっくりだったのですが(日本人には)綺麗な発音でしっかり話しておられました。言いにくい単語などで詰まって言い直したりはありました。盛り上げるべきところでは声がゆっくり大きくしながらジェスチャーも交えて演説していました。あまりにもゆっくりという以外は、すごく練習したのか、慣れているのだなあと思いました。

残念だったのは、手に持っておられた原稿に目を落とす頻度が多く、会場を見ている時間よりも原稿を見ている時間のほうが長いのではないかと感じた点です。正に言うは易しではありますが「スピーチの方法」の類によく書いてある、アイコンタクトというのはほとんどなかったようです。オバマ大統領がよく使っている、テレプロンプターを使えば良いのに、とも思ったのですが、こういう儀礼的な要素がある場では使えないのかもしれません。

事前に話題に上っていた、第二次世界大戦の歴史認識、という話題は、どちらかというとその後いかに日本とアメリカが良い関係を築いてきたかに重点を置いていたようです。僕はそれでもよいと思うのですが、後でたたく人が出てきそうだなと思いながら見ていました。謝罪という話は、たぶん僕が席を立って少し実験していた間に過ぎてしまったのか、わかりませんでした。

スタンディングオベーション

演説中、内容が一区切りつくたびに議員達がスタンディングオベーションをするのですが、全員が立っている場合と着席したままの議員がいる場合がありました。これを見て、見慣れた人は反応が良かったのか悪かったのか分かるのかもしれませんが、僕にはさっぱりわかりませんでした。「どうだった?」と聞いてきたアメリカ人に見分けられるのか聞いてみましたが、「さっぱりわかんないよ!ハハハ」と言っていました。

50分弱の演説を終えた後、あいさつに来る議員達と握手を交わしながら退場していきました。

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