ヒラリー・クリントン氏が大統領選挙への出馬を表明しました。その前には、オバマ大統領の下で国務長官を務めていたときに政府のメールアドレスを使わず、不正に自分で設定したアドレスを使っていたことが問題視されたりしましたし、何かと話題に上ることが多いヒラリー・クリントン氏ですが、新しくクリントン氏を扱った本が出版されます。その名も、『クリントン・キャッシュ』というもので、キャッシュ=現金ですからお金の香りが漂うタイトルです。

クリントン・キャッシュ著者のPeter Schweizerとは?

大統領選挙への挑戦を表明してすぐに話題になったので、ひょっとして自分で書いたものか、とも思ったのですが、違います。タイトルも扉絵の雰囲気も、どちらかというとネガティブですので、関係ありません。発売は来月初旬、2015年5月5日ですが、予約販売分でAmazonのカテゴリ内ナンバーワン・ベストセラーになっています。

著者Peter Schweizer(ピーター・シュバイツァー、英語的にはピーター・シュワイツァー)氏がどんな人かというと、

Peter Franz Schweizer (November 24, 1964) is an American author, academic, and political consultant. He is currently the president of the Government Accountability Institute, and is a former William J. Casey Research Fellow at the Hoover Institution.[1][2] He is Breitbart News Senior Editor-at-Large.[3]

His book Throw Them All Out: How Politicians and Their Friends Get Rich off Insider Stock Tips, Land Deals, and Cronyism That Would Send the Rest of Us to Prison was the subject of a feature on CBS’ 60 Minutes and Newsweek.[4]
Schweizer's book Reagan's War was the basis of the documentary film In the Face of Evil.
In March 2009, Schweizer and Marc Thiessen opened Oval Office Writers LLC.[5]
Schweizer is a member of the Research Advisory Council of the James Madison Institute.[6]
On May 3, 2011, Schweizer was hired as a foreign policy adviser to Sarah Palin.[7]
Schweizer contributed to Glenn Beck's book Broke: The Plan to Restore Our Trust, Truth and Treasure.[8]

出典:『Peter Schweizer』(Wikipedia 最終更新 2015/4/23 22:36)

ウィキペディアのこのエントリーだけ見ると、Government Accountability Institute(政府の説明責任研究所)総裁、Hoover Institite(フーバー機関)のフェロー、など権威がありそうな感じがします。

日本語で、このピーター・シュバイツァー氏を検索すると、出てくるニュースは、2012年の大統領選挙のときの政治献金の話題です。

<米大統領選>オバマ陣営が中国からの献金を拒否、政治的意図か―米紙

配信日時:2012年10月27日 16時42分
2012年10月25日、米紙ワシントン・エグザミナー(電子版)によると、オバマ大統領陣営は中国からのオンライン献金を拒否しているにもかかわらず、他国からの非合法な献金は拒否していない。26日付で環球時報が伝えた。
米国の選挙監視団体・政府監査研究所(GAI)のピーター・シュバイツァー氏は、米国選挙活動における非合法な海外献金に関する報告書の中で「(オバマ)陣営は(中国ユーザーが)献金ページに入れないように阻止している」と指摘している。
出典:レコードチャイナ、下線・強調は管理人による改変

日本語で「政府監査研究所」となっていますが、GAIですので同じ団体です。選挙監視団体ということになっていますがウィキペディアを見ると、

The Government Accountability Institute (GAI) is a conservative investigative research organization located in Tallahassee, Florida. GAI was founded in 2012.[2] Peter Schweizer serves as the group's president.[3]
In October 2012, GAI released a report claiming that the Obama campaign had been illegally soliciting foreign donations.[5][6]
出典:『Government Accountability Institute』(Wikipedia 最終更新 2015/4/23 15:50)下線は管理人による改変

と、設立されてすぐに上記の報告書を出しているので、権威も何もありません。さらに、ピーター・シュバイツァー氏は、 2011年から共和党の副大統領候補サラ・ペイリン氏にアドバイザーとして雇われていました。2012年10月というと選挙戦の最終盤ですので、意図が見えてくるというものです。

フーバー機関のほうは、1919年から名門のスタンフォード大学に設立されている機関ですが、こちらも

Although the Insitution is often described as politically conservative[6][7][8] or as Republican-leaning, directors and others associated with it resist this description, saying that the Institution is not partisan and that its goal is "to advance ideas of supporting freedom and free enterprise".[9]
出典:『Hoover Institution』(Wikipedia 最終更新 2015/4/6 20:07)

 と共和党寄りの組織です。

 ピーター・シュバイツァー氏は、他にも多くの本を出していて多くが共和党を褒め称えて民主党をけなすものです。

Amazon.com『Makers and Takers: How Conservatives Do All the Work While Liberals Whine and Complain』

タイトルが長いですが、Liberalsが泣いて文句を言っている間にConservativeが如何に上手くやったか、というような感じで、中身を見ないでもタイトルだけでお腹いっぱいな気がしてくる本です。他に共和党のブッシュ大統領やレーガン大統領を讃える本も出しています。

これと直接関係ありませんが、

アマゾン.co.jp アメリカAmazonは『Disney: The Mouse Betrayed: Greed, Corruption, and Children at Risk』

と夢の国を告発する本も1998年に執筆しています。アメリカでも、今までそれほど注目を浴びていなかったためか、解説記事『Peter Schweizer: 5 Fast Facts You Need to Know』(Heavy)が組まれました。ピーター・シュバイツァーについて知っておきたい5つのこと、として

  1. 「Clinton Cash」の内容を検証するための証拠をニューヨーク・タイムズやフォックス・ニュースなどに示している
  2. 2011年に出版した、政治家によるインサイダー取引についての本『Throw Them All Out: How Politicians and Their Friends Get Rich Off Insider Stock Tips, Land Deals, and Cronyism That Would Send the Rest of Us to Prison』がきっかけになって、法律が整備された
  3. 2011年にサラ・ペイリン氏の選挙陣営にいた
    • 政府監査研究所は、共和党の予備選挙に名乗りを上げているテッド・クルーズ上院議員の選挙資金を出しているファミリーと緊密
  4. 過去の著作・仕事のために攻撃されている(あまりにも共和党寄りだという意味だと思います)
  5. 次に、共和党の有力候補でジョージ・ブッシュ元大統領の弟ジェブ・ブッシュ氏についての本を計画している

を取り上げています。4番目の、過去の云々という点について、Media Mattersという組織に「怪しい」と書かれています。(参考:Clinton Cash Author Peter Schweizer's Long History Of Errors, Retractions, And Questionable Sourcing』Media Matters for America)出典が怪しく、存在しなかったりするなどの問題がたくさんあるので、気をつけてねということです。ただし、Media Mattersも政治的な活動の一環として、"Progressive"な人によって2004年に設立された団体です。

 

クリントン・キャッシュの内容

まだ発売されていないので、扉から想像はできるものの中身は分かりません。CNNに、「クリントン・キャッシュを読まなくても分かる5つのこと」という記事が出ています。

That's a lot of attention for a book most people haven't read. Snippets reported in The New York Times make clear the book hones in on foreign donations to the Clinton Foundation and speaking fees President Bill Clinton raked in during Hillary Clinton's tenure as secretary of state -- both topics that have already received a great deal of attention from both the media and Clinton's political opponents.
Here's what we know so far about "Clinton Cash: The Untold Story of How and Why Foreign Governments and Businesses Helped Make Bill and Hillary Rich."
出典:『5 things we learned about 'Clinton Cash' without reading it』(CNN.com)

日本語版のCNN.co.jpには出ていないため、詳しくは上記出典のCNN記事を読んで頂く必要がありますが、まとめると、

  1. クリントン氏が公職についている間に私腹を肥やした
  2. その例(コロンビア、ハイチ、カナダの事例)を挙げている
  3. シュバイツァー氏の過去の活動について。共和党側に立っているが、最新作「Extortion」はどちらでもなかった
  4. クリントン氏も反撃しそう
  5. 共和党はこれを材料にクリントン氏を批判しそう

という特に何でもない内容でした。最後の項目に関しては、既にピーター・シュバイツァー氏がクリントン・キャッシュの内容を、共和党の大統領候補に挙がっている、ランド・ポール氏や、マルコ・ルビオ氏に教授したということです。

Schweizer has already briefed the Senate Foreign Relations Committee -- providing conservatives on the committee an opportunity to come out swinging as the book is released.
And those members include two presidential candidates: Sen. Rand Paul of Kentucky and Florida's Sen. Marco Rubio.
Paul said the book will "shock people" and make voters "question" Clinton's candidacy.出典:前述CNN記事

出版されたら読んでみようかと思いますが、たぶん途中で飽きてしまうので・・・ちょっと立ち読みして買わずに帰る気がします。

 

ピーター・シュバイツァー氏は次にジェブ・ブッシュ氏を取り上げる?

クリントン・キャッシュ著者のピーター・シュバイツァー氏は、HeavyとCNNの記事に出ていたように次は共和党の大統領候補筆頭のジェブ・ブッシュ氏を取り上げた本を計画しているそうです。

「今度はジェブ・ブッシュ氏を礼賛するんでしょう?」と思ってCNNの記事を読んで見たところ、雲行きが違うようです。同じ民主党でも、今はテッド・クルーズ議員との関係が深いからでしょうか?

The Bush investigation, which has already been ongoing for months, is looking at financial deals involving Bush while he was governor and in his private sector work.
Schweizer sealed deals with several media organizations to investigate the findings of "Clinton Cash" and he told Bloomberg he hopes to do the same with the book on Bush.
It's not the first time Schweizer will have looked into the Bush family. He also published "The Bushes: Portrait of a Dynasty" ten years ago after conducting interviews with members of the Bush family.
Schweizer also served as a consultant to President George W. Bush's speechwriting team in the last year of his presidency.
出典:『'Clinton Cash' author next target: Jeb Bush』(CNN.com)

ジェブ・ブッシュ氏が州知事時代に、クリントン・キャッシュで描かれているような方法で資金を集めていたかのようなニュアンスです。ピーター・シュバイツァー氏は、以前にブッシュ大統領の本を執筆したこともあり、さらにジュニアのほうのブッシュ大統領のスピーチライターチームで働いたこともあるそうですが、ジェブ・ブッシュ氏の本が出版されることはあるのでしょうか?

 

日本ではクリントン氏の最新作邦訳が出版

アメリカでは、クリントン氏に対抗する書籍が出版されようとしているところですが、日本ではクリントン氏の本「困難な選択」の邦訳が2015年5月1日に出るようです。

困難な選択(上)困難な選択 (下)(いずれもアマゾン)

アメリカの大統領選挙の選挙戦は、日本のと違って、非常に長いです。投票は2016年夏以降で、それまでの間、スキャンダルが起こったり、さまざまな事件に対しての発言・行動を有権者・対抗馬が見て批判しあうことで絞られていきます。また、何かをきっかけに新しい世代の政治家が台頭してくることも多いです。

選挙は始まったばかりです。せっかくなので、(実際に候補者を見ることはないかも知れませんが)見ていこうと思います。

 

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