南部の東海岸、サウスカロライナ州にあるチャールストン市郊外のノースチャールストン市で白人警官による黒人男性射殺事件です。チャールストンは東海岸の観光地のひとつです。事件の発生はは2015年4月4日で、発覚して騒ぎになったのは4月7日だと思います。今までの事件と大きく異なる点は、白人警官がすでに免職され逮捕されている点です。

Walter Scott事件の概要

このノースチャールストン市の事件は、日本でも比較的早くニュースに現れたと思いますので日本語の情報もあります。

警察は当初、スラガー(Michael Slager)容疑者が4日、尾灯が故障した車に乗っていた黒人のウォルター・スコット(Walter Scott)さん(50)を呼び止め、近くの公園のような場所でもみ合いになり、スコットさんにスタンガンを奪われたと説明していた。しかし、通行人が撮影したビデオが7日に公開され、同容疑者が逃げるスコットさんに向け一方的に発砲する様子が映っていた。

 

出典:『黒人男性射殺の白人警官を免職 米サウスカロライナ州』日本経済新聞

概要は上記の日経記事の通りですが、だいぶ省略されている部分や続報があるので書いておきます。

4月4日にテールランプが故障した車に乗っていた黒人のウォルター・スコット容疑者が白人警官のマイケル・スラガー氏に射殺されました。

警察の当初報告によると、ウォルター容疑者が警官のスラガーさんからテイザー銃(スタンガン)を奪って攻撃し逃走したため発砲し、容疑者を拘束したが容疑者は死亡した、という事件でした。容疑者は武器を持っていませんでした。これだけだとローカルニュースには載る程度と思われます。

 

警官による殺人発覚のきっかけ

4月8日に、事件を目撃した黒人男性が携帯で撮影したビデオがニューヨークタイムズ誌に持ち込まれて公表されたことで全米に知られることになりました。

ビデオに映っていたのは、逃げるウォルター・スコットさんに対してマイケル・スラガー容疑者が8発発砲しうち5発が命中、倒れたウォルター・スコットさんの側もしくは上にテイザー銃を落とすマイケル・スラガー容疑者の姿でした。このビデオをきっかけに白人警官のマイケル・スラガー容疑者は逮捕され、解雇されました。

あとで、警察当局はこのビデオのおかげで当初からあった疑惑が明らかになったと言っていますが、真偽は不明です。

4月10日には、サウスカロライナ州の警察がパトカーのダッシュボードカメラの映像を公開したものの銃撃の場面は映っておらず、ウォルター・スコットさんが運転する自動車を止めて話しかけているのと、ドアを開けて走って逃げ出すスコットさんの様子が映っています。その後、スラガー容疑者が「テイザーテイザーテイザー」言っているのが聞こえます。スコットさんが逃げだしたのは、孫二人の保育園費用のうち1万8千ドル(200万円強)を滞納していたためだと示唆しているようです。

 

目撃証言をした人

目撃者の黒人男性Feidin Santanaは、ビデオを撮影しているのを別の警官に見咎められたため、数日間ビデオを出せなかったとテレビの取材に対して答えています。また、スコットさんは争っているようではなかったということと、テイザー銃の音はスコットさんが逃げ出す前にはしなかったと証言しています。

もう一人目撃者がいて、黒人女性Gwen Nicholsさんは二人が争っていたようだった、スラガー容疑者が発砲する前に「止まれ」などの指示をしたのは聞こえなかったと言っています。

 

警察が公表したビデオに映ったもう一人

警察が公表したビデオ映像にはスコットさんの車の助手席に座っている人が映っていました。この人物の証言は今のところ公になってはいません。

 

白人警官Michael Slager

スラガー容疑者は5年前から警察官をしており、2013年にはテイザー銃(スタンガン)の不適切な使用で処分をうけたことがあるそうです。

 

英語のニュースソース

『Times VIDEO Video Shows Fatal Police Shooting』(New York Times)

S.C. shooting video reveals an awful truth, frame by frame』(The Boston Globe)

Police shoot man in the back: Who was Walter Scott?』(CNN.com)

New witness, dash cam video emerge in South Carolina shooting case』(CNN.com)

Walter Scott, shot in the back after police stop, to be buried Saturday』(CNN.com)

 

一連のニュースから

最初に公表された目撃者のビデオで、最初の瞬間は二人がもみ合っていたかもしれない位置関係から始まっています。逮捕された白人警官が男性を射殺した後に駆け寄りながら通信している様子と、すぐに射撃をした場所に走って戻りテイザー銃をウォルター・スコットさんの側に落としている様子が映っています。この時点で報告書を偽造することを決めていたことがわかるのですが、非常に短時間の間に行われているためにどうしても、最初からそのつもりだったのではないかという疑問が沸きます。

数日後に警察が、射殺された男性が「悪」だという印象を与えようとしている(と周囲に思われる)映像を公開しています。状況的には、ミズーリ州ファーガソンでのマイケル・ブラウンさん事件を思い起こさせる展開です。それにしても、保育料の滞納が2万ドル近いというのは、元はいくらかかったのかと思う金額です。

この事件の後、サウスカロライナ州では警官にボディカメラを取り付ける方針を決めたようです。

数年来全米を揺るがしている事件ではすべて無罪になっています。この事件はどうなるのか、アメリカでは大きなニュースになると思われます。

 

元警官を殺人罪で起訴

事件から2ヶ月あまり経った2015年6月8日、マイケル・スラガー容疑者がウォルター・スコットさん殺人の容疑で起訴されました。『メリーランド州ボルチモアで暴動』は事件からすぐに起訴されたのですが、あちらは早すぎるといわれていたので、このくらいが普通なのかもしれません。

どちらにしても、2012年ごろから続いていた、「不起訴」の連鎖はとまったようです。

 

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